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キリスト教礼拝小辞典
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キリスト教礼拝小辞典 松山與志雄
2007年6月20日
あ
あいさつ(サルタティオ)
ミサ礼拝での典礼的あいさつ。「主が共におられるように」または「平安があなたがたと共にあるように」(答え「またあなたの霊と共に」)。本来は「平安」であったらしい。
アヴェ・マリア
天使のマリアヘの受胎告知の際の挨拶「おめでとう・恵まれた方」(ルカ1:28)とエリザベトの祝福(同1:42)と執り成しの祈りからなっている。
アウクスブルク信仰告白
メランヒトンらによって起草され、1530年アウクスブルク国会に提出されたルター派教会の信仰告白。
アガペー
初代キリスト教会の会食、愛餐とも言う。本来はエウカリステイア(聖さん式、主の晩さん、聖体拝領)と結びついていたが、後に分離する。
アクツェス
ローマ・カトリック教会で礼拝の前にサクリスタイ(聖具室)で行なう準備の式。
アジェンダ
プロテスタント・ルター派教会で礼拝定式と執行の仕方を記した本。
アタナシオス
古代教会の信条のひとつ。アタナシオス(373年没〕の名前がつけられているが、実際はそれよりも200年後のもの。
アッチェントゥス
グレゴリオ聖歌で、同じ高さの音を繰り返す旋律形式。また司祭が唱える部分を言う。聖教隊の部分はコンチュントゥスと言う。
アディアフォラ
命じられてもおらず、また禁じられてもいない事柄や儀式。
アドヴエント〔ラ〕Adventus
特降節。教会暦で降誕日の前にある準備の期間。
アドユトリウム・ノストルム〔ラ〕adjutorium nostrum(「わたしたちの助けは主の御名にある」〕(詩124:8)
コンフィテオル導入の文言。つまり礼拝の初めにある準備式としての罪の告白の導入句。一般に誤解されているような、教職者による礼拝導入の文言ではない。「わたしたちの助けは……」は詩43:5「わたしはなお、告白しよう・…・・」につながる。改革派教会の説教礼拝の最初に置かれる。
アナバーシス〔ギ〕anabasis(「運び上げる」)
人間の業としての礼拝の上向的側面。
アナフォラ〔ギ〕anaphora
正教会の聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)の高祈祷の名称。
アナムネーシス〔ギ〕anamnesis〔独〕Anamnese
古代教会における、聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)の高祈祷の一部で、サンクトゥスの後にある。制定句の中の「わが記念としてこれを行え」とのイエスの御委託を遂行して、イエス・キリストによる神の救いの業を思い起こすこと。
アニュス・デイ〔ラ〕Agnus Dei〔英〕Lamb of God
「キリスト、神の子羊よ」。聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)の最初の歌。ミサ曲の最終歌。
アプス〔独〕Aps1s〔英〕apse
後陣。バジリカ型会堂の本屋の細い側の半円形(大抵は東側)の部屋。祭壇と司祭団のた め。
アミクト〔独〕Amikt〔英〕amice
典礼服の中で、アルばの下につける白いスカーフ状のもの。
アーメン〔へ〕'amen〔独〕Amen〔英〕amen〔仏〕amen「その通りでありますように」「確かにその通りです」。
他人が述べた文言を受け入れ、あるいは支持、同意することを表すきまった言い回し。頌讃句(Akklamation)のひとつで、一人あるいは一団が、他の人の祈りを受け入れ、支持し、同意すること。したがって司式者が自分の祈りをアーメンで終えるのはおかしい。説教の終わりに、説教者自身がアーメンということがあるが、本来はこのアーメンは会衆が担当する部分である。話し言葉の祈りには、話し言葉のアーメンで、歌う祈りには歌のアーメンで答えるのが正しい。話し言葉の祈りに歌うアーメンで答えるのは正しくない。讃歌や頌栄の終わりの会衆によるアーメンについては議論があり、次第に(特に都市の教会では)なくなる傾向がある。
アルテルナティーム〔ラ〕alternatim〔独〕A1ternatim
交代奏法。典礼、合唱、合奏を違った団体の間で交互に行なう仕方。
アルバ〔ラ〕albus〔独〕Alba
白くて長い典礼服。
アレルヤ(ハレルヤ)〔ラ〕alleluja〔独〕Halleluja
ヘブライ語で「主をたたえよう」。詩編で頻繁にくり返される。旧約聖書の神殿礼拝に由来し、シナゴーグ礼拝を経由してキリスト教礼拝にもたらされた。4世紀、ローマで復活日に歌われ、教皇グレゴリウス1世(604年没〕によって全ての日曜、祝日のミサに導入された。本来は使徒書の朗読のあとでアレルヤで終わる詩編全体が唱えられた。しかし時の経過と共に最後には詩編からアレルヤの詩節だけが残った。まず先唱者がアレルヤを歌い、聖歌隊がこれを繰り返し、次に先唱者がアレルヤ唱を歌い、聖歌隊が同様に繰り返す。プロテスタント教会ではアレルヤの使用には統一がなかった。改革当初、そしてルターが「ミサ定式」(Formula missae)で提案した礼拝定式ではアレルヤがあった。しかし「ドイツ・ミサ」では無くなっている。その後久しくアレルヤは姿を消し、19世紀になって再び一般的に用いられるようになった。今日、ルター派の礼拝定式は中世の慣習を復興し、アレルヤとアレルヤ唱を会衆と聖歌隊とで歌う。アレルヤはアーメンと同様、司式者ではなく、会衆が唱えるものである。ローマ・ミサではアレルヤは
アレルヤ唱と一緒にミサ固有式文を成し、グラドゥアーレに続く。プロテスタント教会礼拝では、アレルヤは使徒書朗読の後、グラドゥアル(歌)の前にある。
アロンの祝福〔英〕Aronic benediction
大祭司アロンに帰される祝福の文言(民6:24-26)。プロテスタント教会礼拝では主
日礼拝の最後。
アンセム〔英〕anthem
英国教会礼拝の合唱曲。典礼とは直接結びつかないが、多くは聖句を歌詞としている。
アンティドロン〔ギ〕antidoron(「代わりの賜物」)
正教会の礼拝で、陪餐しなかった人に与える、聖別されていない、しかし祝福されたパンのこと。
アンテサンクトゥス〔ラ〕antesanctus (「サンクトゥスの前」)
高祈祷の第一部で、その最後がサンクトゥスになる。
アンテベンディウム〔ラ〕antependium
聖壇布。広い幅の布で、祭壇の中央にかける。典礼色を表す。
アンボ(朗読台)〔独〕Ambo〔英〕ambon
カンツェルの前段階。バジリカ型会堂の聖書朗読や説教のための台。
い
イコン〔独〕Ikon〔英〕icon
東方教会の聖像。神の救いの出来事や人物が主題。
インヴィタトリウム[ラ]invitatorium
神への讃美を呼びかける詩95編。時祷の朝課はこれでもって始まる。あるいはこの詩編95編の前後や中間に置かれた交唱を言う。
インヴォカヴイット〔ラ〕invokavit
教会暦の四旬節第1日曜日(主日)。
イングレッスス[ラ]ingressus
時祷の始まりの答唱を言う。「神よ、急いでわたしを助けに来て下さい」。朝課をのぞいた全ての時祷の始まり。
イントロイトゥス〔ラ〕introituS(「入祭、開祭」〕〔英〕introit
ミサの開始で、詩編(あるいは詩編の一部、詩編句)を唱えること。イントロイトゥスは交唱とグロリア・パトリがとり囲む。イントロイトゥスはすでに5世紀以来の慣習で、教皇や司祭が行列して礼拝堂に入堂する際に、聖歌隊が詩編唱を歌い、行列が終わり、司教が祭壇でグロリア・パトリの合図を出すまで歌い続けた。入堂行列はしかし中世になって、サクリスタイが礼拝堂の入口ではなくて、内陣の隣に位置するようになってから廃れた。そのためイントロイトゥスの短縮化がおこり、ついには一つの詩編句までになった。ルターはイントロイトゥスを保持し、出来る限り一つの詩編全体を唱えるよう望んだ。プロテスタント教会礼拝では、イントロイトゥスは種々の変遷を経て19世紀には教職者による開祭の文言(招詞)となり、詩編による祈りという本来の特徴は失われてしまった。今日、ルター派のアジェンダでは、詩編、あるいは数行の詩編句がイントロイトゥスとして置かれ、交唱形式で聖歌隊が歌うか、あるいは司式者によって唱えられる。またイントロイトゥスと一緒に、あるいはイントロイトゥスの代わりに、開会の歌が歌われることもある。
インプロペリア〔ラ〕improperia
神、キリストの国民に対する嘆き。12世紀以来、ローマ・カトリック教会の受難週・聖金曜日典礼の重要な構成要素。今日プロテスタント教会礼拝でも始められている。
う
ヴェルバ・テスタメンティ〔ラ〕Verba testamenti〔独〕Einsetzungsworte
聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)の中にある聖さん制定の言葉(句)(Iコリ11:23-25、マタ26:26-28、マコ14:22-24、ルカ22:19-20に基づく)。
え
エウカリスティア〔ギ〕 eucharistia (「感謝を述べること、謝辞」〕〔独〕Eucharistie〔英〕eucharist
聖さん式、聖晩さん、主の食事、会食の祝いなどにたいする統一名称である。エウカリスティアは、十字架の死の直前、イエスが弟子たちと守った最期の会食に由来する。中心にいわゆる「制定句」がある。古代教会ではエウカリスティアはアガペーと一緒であったが、使徒後時代に両者は分離する。エウカリスティアの根本は十字架に死んで復活し、再び来たりたもう主の喜ばしい記念である日それは叙唱で「感謝を捧げよう」(gratiasagamus)と「正しくなすべきことです」(veredigmm)と表現されている。この観点からすれば、エウカリスティアと罪の告白との結びつきは必要かくべからざるものではない。しかし時代の経過とともに、コミューニオンに与る者の自己検討のために、罪の告白を伴う慣習が定着した。なおプロテスタントルター派教会では、聖晩餐(エウカリスティア)は日曜日(主日)礼拝の基本的構成要素である。
エウカリスティアの祈リ
古代教会の最古のエウカリスティアの祈りは3世紀最初のもので、あいさつ一スルスム・コルダー感謝の祈り一制定句一アナムネーシスーエピクレーシスであった。4世紀よりこの一連の祈祷の代わりにローマ・カトリック教会のカノンが登場する。
エキュメニズム〔独〕Okumenismus〔英〕ecumenism
教会一致運動。名称はギリシア語のオイケオーに由来する。
エストミヒ〔ラ〕estomihi
教会暦の四旬節前日曜日(主日)。
エピクレーシス〔ギ〕epiklesis (「降臨を願うこと」)
聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)のパンとぶどう酒に聖霊の降臨を願い、救いに与るコミューニオンを与えられるよう祈る。エピクレーシスはヒッポリュトス(235年没)で初めて出会うが、ここでは会衆のために救いの賜物を願う祈りである。4世紀に聖霊がパンをキリストの体に、ぶどう酒をキリストの血に変えるように祈る形式が存在した。この意味で東方正教会典礼では、エピクレーシスによって聖変化が生じるという見解を今日まで保持している。したがって制定句よりもエピクレーシスがより重要である。ローマ・ミサでは制定句の朗唱が聖変化を招来するため重要である。プロテスタント教会のルター派では今日、エピクレーシスの新しい文言を提案している。
お
オクターヴ〔ラ〕oktav
大祝日後の8日間の祝祭。
オクリ〔ラ〕ocu1i
教会暦の四旬節第3日曜日(主日)。
オブラータ〔ラ〕oblata(「奉献物」)
ローマ・カトリック教会では聖変化前の聖餅。聖変化後はホスティアと言う。プロテスタント教会ではホスティアと同義。
オラティオ〔ラ〕oratio〔独〕0ration〔英〕oration〔仏〕oraison
祈り。
カ
階段祈祷〔独〕Stufengebet/Staffelgebet
ローマ・カトリック教会でミサ準備の儀式を祭壇への階段上で行ない、そのために階段祈祷の名がある。
カタバーシス〔ギ〕katabasis 神の業としての礼拝の下降的側面。宗教改革礼拝観の特徴
カテドラ〔ラ〕cathedra
石や木でできた司教座。11世紀までは祭壇の背後、後陣壁の真ん中に置かれた。後に、祭壇と同じ高さに高められ、福音書側の、中央祭壇の近くに置かれるようになった。
カテドラル〔独〕Kathedra1e〔英〕cathedral church
都市の司教座のある教会を指す。
カノン〔ギ〕kanon(「規則」)〔独〕Kanon〔英〕canon
キリスト教信仰にとって基準と認められた旧・新約聖書。さらにローマ・ミサの中のサンクトゥスから主の祈りまでの間にある一群の祈り(捧げものの祝福を願う祈り、生者や死者への執り成しの祈り、聖人の名前を挙げる)で、低声で唱えられ、ミサの奉献を遂行する。また聖人の名前のリストや・ローマ・カトリック教会の教会法規をカノンと言う。音楽上では、多声楽曲で、同じ旋律が次々と導入される型式を指す。
カリス〔ラ〕calix〔独〕Kelch〔英〕cup
聖晩さん(聖さん、主の晩さん、聖体拝領、エウカリスティア)のぶどう酒をいれる聖杯。
カンセリ〔ラ〕cancelli
会堂で祭壇と会衆領域とを隔てる低い壁。13世紀以来、内障仕切格子に発展する。
カンターテ〔ラ〕kanntate
教会暦の復活後第4日曜日(主日)。
カンツェル(説教壇)〔独〕Kanze1
会堂内に会衆からよく見えるように高い位置にもうけられている。名前はカンセリから由来する。昔はカンセリから説教したからである。音響効果を高めるために、カンツェルには屋根がつけられている。プロテスタント教会では礼拝における説教の強調のためにカンツェルが愛用され、カンツェルは祭壇よりも高い位置に設けられた。
カンティカ,カンティクム〔ラ〕cantica(複数),canticum(単数)
聖書の中にある詩編以外の讃美の歌。時祷で歌う。ベネディクトゥス、マグニフィカト、ヌンク・ディミットゥスなど。
カントル〔独〕Kantor
グレゴリオ聖歌の先唱者。聖歌隊の指揮者。プロテスタント教会では、宗教改革時代より、教会合唱と学校聖歌の指揮者。オルガニストを兼任している場合が多い。
き
祈祷書 「英〕Book of Common Prayer
英国教会の典礼書。礼拝定式と信仰問答、三十九箇条と詩編を収めたもの。
教会歌〔独〕Kirchenlied
古代教会はユダヤ教礼拝から詩編歌を受け継ぐ。それ以外にシリアでは讃歌が愛唱される。アンブロシウスによって西方教会でも讃歌が盛んになる。600年頃、グレゴリウス大教皇によって教会歌の改革がおこなわれ、グレゴリオ聖歌が礼拝歌唱の基本となる。宗教改革が始まると、ルターによって会衆歌のコラールが作られる。改革派教会では、フランス語に翻訳された詩編が用いられる。その後、敬虔主義がプロテスタント教会歌の形成に大きな影響を与えた。
教会建築
3世紀になって初めて礼拝堂が建て始められた。一般に世俗の建築様式を採用し、祭壇と会衆席を含む本屋が中心である(バジリカ〕。中世初期には長方形の集会室と半円形の後障を持つロマネスク様式が作られた。東方教会の初期ビザンチン様式は丸屋根を持つバジリカ様式である。
教会ハンドブック〔独〕Kirchenbuch
礼拝定式書、アジェンダと同じ。また会員記録簿。
教会暦
待降節第1日曜日に始まり、特定の祝日を定め、礼拝生活を深めるための一年単位の典礼暦。
キリエ・エレイソン〔ギ〕kyrie eleison
ミサ固有式文の歌。キリストに対しての讃美とキリストの助けを呼び求める。「主よ、あわれんでください。キリストよ、あわれんでください。主よ、あわれんでください」
ミサ礼拝でイントロイトゥスの後で唱える。本来キリエは連願(リタニー)の中にあって司祭が祈る執り成しの祈りのひとつひとつに対して、会衆がキリエを唱えつつ受け入れたのであった。連願は初め礼拝の最初にあったが、その後連願が無/なっても、キリエだけはこの位置に留まったのである。イントロイトゥスの長さと同様、キリエの回数も教会や司式者によって異なる。キリエが典礼に導入された当初は、「主よ、・・・」「キリストよ、・・・」「主よ、・・・.」を都合。3回繰り返し、全部で9回であった。さらに3回、6回、12回もあった。グレゴリウス大教皇の際には、司祭と聖歌隊と会衆に分けられたがまもなく二つの聖歌隊が分担することになる。さらにキリエはトロプスで拡大され、会衆はライスを歌ってキリエに参加した。ライスの詩節の最後はいつも「キリエライス」で終わっていた。今日ローマ・カ/リック教会は9回のキリエを司祭と助祭、あるいは二つの聖歌隊の間で歌う。ルター派教会は3回のギリエを保持したが、19世紀になって司式者と会衆との交代歌唱となった。キリエは礼拝の初めの礼讃(Anbetung, adoration
)の部分にあり・グロリア・イン・エクセルシスと続いている。したがって本来キリエは礼讃として、罪の告白を意図しているものではない。
く
グラドゥアル〔独〕Gradual1ied
ルターの「ドイツ・ミサ」以来、ローマ・ミサの先唱者や聖歌隊が歌ったでグラドゥアーレの代わりに置かれた会衆歌。聖書朗読の間に置かれた礼拝での中心の歌である。教会暦の歌、また週歌(Wochenlied)とも言う。一般に当日の福音書(また使徒書)に基づいて選ばれ、固有式文に属する。
グラドゥアーレ〔独〕Graduale
使徒書と福音書朗読の間こある詩編唱。先唱者がアンボヘの階段上で立って歌うので昇階唱の名がある。本来は答唱風に唱えた。すなわち先唱者が詩編を歌い、会衆がこれを中断して答唱を歌った。後に聖歌隊がこれを引き継ぐ。7世紀以来、詩編はニつの詩節に縮小した。今日、ローマ・カトリック教会で行なわれているのはこれである。グラドゥアーレは日曜日礼拝の固有蜘こ属し・日曜毎に替わるが、内容は多くが聖書朗読の内容とはあまり関連がない。宗教改革の礼拝ではグラドゥアーレを、このような形式では引き継がず、グラドゥアーレの場所に、日曜日(主日)礼拝の中心の歌を置いた。今日のルター派教会礼拝では、この教会歌をグラドゥアル(或いは週歌 Wochenlied)と称している。この場所では、聖歌隊とオルガンと交替で、かなり長い歌を歌うことも可能である。
また12世紀以来、グレゴリオ聖歌を収めた本とグラドゥアーレと言う。
グレゴリオ聖歌
ローマ・カトリック教会の単旋律の典礼聖歌。教皇グレゴリウス1世(604年没)の指導で教会の礼拝歌の改革が行なわれたので、その名前をとった。しかしグレゴリオ聖歌の根元はもっと古く、初代教会の詩編である。その旋律形成の端緒は言葉の音節にあり、この音節に多くの音がつけられている。グレゴリオ聖歌の特徴は単旋律と全音階である。ローマ・カトリック教会ではグレゴリオ聖歌を朗唱、交唱、答唱、そして詩編唱に用い、先唱者(司式司祭、カントル)とスコラ(グレゴリオ聖歌歌唱のために特に訓練を受けた聖歌隊)と会衆の問で交代で歌われる。グレゴリオ聖歌にはオルガン伴奏はふさわしくない。
クレド〔独〕Credo(「わたしは信じます」)(信仰告白、信仰宣言)
礼拝での信仰告白。ローマ・ミサでは説教の後、あるいは福音書の後。プロテスタント教会礼拝では一般に、聖書朗読と説教との間で、使徒信条が用いられる。しかし使徒信条は本来、洗礼信仰告白であることから、洗礼式にとっておくべきである。エキュメニカルな信仰告白としてさらにニカイア・コンスタンティノポリス信条がある。内容は使徒信条の簡潔さに比べれば豊かである。プロテスタント教会ではルターのクレドの歌(Wir glauben all am einen Gott)が用いられる。クレドの崇めほめたたえる礼賛(Anbetung)の特徴からかんがみて、クレドの唱和中、司式者は祭壇に向かうべきであろう。
グロリア・イン・エクセルシス(大グロリア、大領栄)〔ラ〕gloria in exercis Deo
「天には栄光が神に……」(ルカ2:14)に頌歌が加わって「わたしたちはあなたを讃美します……」と展開する。ミサでキリエに続く。通常式文に属する。
グロリア・パトリ(小グロリア、頌栄)と区別しなければならない。そもそも大グロリアはミサ礼拝の構成要素ではなかった。4世紀まで東方正教会で時祷に朝の讃歌として用いられた。西方教会には6世紀に降誕日前夜の徹夜課に現れ、次に日曜日のミサの中に登場する。
プロテスタント教会では大グロリアの文言をルカ2:24から文字通り取る場合があるが、ルター派教会では、さらに拡張して「わたしたちはあなたを讃美します……」としている。これはその前のキリエでキリストを世の罪を取り去る神の小羊として讃美することの継続である。
このように内容的にもキリエはグロリアと密接に結びついている。大グロリアは司式者か、あるいは聖歌隊が先唱し、聖歌隊かあるいは会衆が後を続ける。
待降節第2日曜日(主日)より第4日曜日(主日)までと、四旬節と聖金曜日は大グロリアを歌わない。
え
グロリア・パトリ(小グロリア、頌栄)〔ラ〕gloria patri
詩編による祈りを締め括る三位一体の神への讃美の定式。「父と子と聖霊に栄光がありますように」。これによって旧約聖書の詩編はキリスト教礼拝の祈りとしてふさわしいものとなる。グロリア・パトリは4世紀以後礼拝で用いられた。ミサ礼拝ではイントロイトゥスの中にありして通常文の中で独立した位置を占めてはいない。したがって詩編による祈りがない場合はその存在意義を持たない。聖歌隊によってイントロイトゥス詩編が歌われるときはグロリア・パトリも聖歌隊によって歌われる。その際、旋律は歌われた詩編朗唱音にならう。もしも詩編が読まれた場合は、グロリア・パトリを会衆歌(頌栄)で歌う。またグロリア・パトリは時祷の詩編唱を締め括る。
クワジモドゲニティ〔ラ〕quasimodogeniti
教会暦の復活後第1日曜日(主日)。
け
現代教会建築
教会建築の伝統への回帰と、同時に徹底した刷新の緊張関係のなかで会堂建築も進められている。基本的には初代教会の家の集会を取り戻し、古代、中世を通じて定着した教職者領域と信徒領域の分離を克服し、キリストと共にある共同体の場としての空間を効果的に形成することにある。
高祈祷〔独〕Hochgebet
この祈りで聖晩さん(エウカリスティア)が開始され、パンとぶどう酒の聖変化とキリスト奉献の想起が遂行される。教会暦で変化する叙唱と変化しないカノンより成る。
公現日〔独〕Epiphanias
教会暦の1月6日。主の公現を祝う東方正教会の降誕日。
交唱(アンティフォナ)〔ラ〕antiphona〔独〕Antiphon
グレゴリオ聖歌で詩編を取り囲む唱句。詩編の主題と詩編朗唱音の種類を示す。あるいは詩編交唱の形式で歌う独立した声楽作品。
公同の罪の告白〔独〕Offene Schuld
私的告解と対照的に中世のミサ礼拝から始まった会衆の公同の罪の告白。説教のあとで行なわれ、説教者による罪の赦しの願いが続く。聖晩さん(エウカリスティア)の前の罪の告白と赦しも同じである。
ゴシック
ゴシックは初期ゴシック(1240年一)盛期ゴシック(1270年一)後期ゴシック(1400年一1480年)に分けられる。キリスト教の会堂はバジリカ様式を基本として維持してきたが、ロマネスク様式のように多くの部屋を作らず、統一した全体を構成するようにつとめた。翼廊を短くし、身廊との緊密な関係が増した。身廊は内陣へと続き、側廊は内陣領域を廻るようになる。半円のアーチは尖塔アーチに代わる。天井の穹窿(きゅうりゅう)構造には肋骨(ろっこつ)を使って下方にのばし、一本の柱の周囲に集まって集合柱を作っている。外部では飛び控え壁が、斜めの突っ張りで身廊の柱を横から支える。彫刻は洗練されて美しく、また人問的である。豪華なステンドグラスが人々の目をひき、壁画は廃れて、板絵が盛んになる。
コミューニオン〔ラ〕communio(「交わり、共にあること」)〔独〕Kommunion〔英〕Communion
聖晩さん(エウカリスティア)を指す。ローマ・カトリック教会ではコミューニオンは主の祈りとエソボリズム(挿入祈祷)とパン裂き、水の混和とアニュス・デイ、平和の接吻と準備の祈祷、分餐と指先の清め、コミューニオン後の祈りの全体を指す。狭義ではエウカリスティアの中でパンとぶどう酒を分餐すること。さらにコミューニオンの際に唱えられる歌を指し、これには会衆や聖歌隊やオルガンが参加する。
コメス〔ラ〕Comes
ペリコーペの一覧と該当する聖書本文を抜き書きしたもの。
固有式文〔ラ〕proprium〔英〕proper
ミサ礼拝で教会暦に基づいて変化する典礼部分全体を指す。変化しない部分は通常式文。
コラール〔独〕Chora1
教皇グレゴリウス1世の編纂になるグレゴリオ聖歌の総称。単旋律で全音階でラテン語。またはプロテスタント教会の教会歌を指す。ルターは友人たちの協力により、まず古代教会の歌(セクエンツィアや讃歌など)の翻訳と翻案を手がけ、さらに世俗曲の改作と新曲の創作に進んだ。貢献者として特にJ.ワルターを挙げる。歌詞も旋律もリズムの点で新しい教会歌を創造することが出来、その一部は今日でも礼拝の歌としてふさわしい表現力を持つ。
コルポラーレ〔ラ〕corporale
ミサの際、祭壇の中央に広げた四角形の麻布で、パテナとカリスをその上に置く。
コレクタ(集祷、特祷、)〔ラ〕co1lectae〔独〕Ko1lekte
短い一定の形式でまとめた祈り。主としてその前にある種々の祈り、イントロイトゥス、キリエ、グロリアをまとめたもの。ミサ礼拝では「開祭の部」の終わりにある。また献金を集めることを指す。
コントラファクトゥール〔独〕Kontrafaktur
世俗の歌を教会の歌に変えること。しばしば個々の歌詞が変えられたり、別な意味に変えられたりする。
コンフィテオル〔ラ〕Coniteor(「わたしは告白します……」)。
礼拝の初めにある罪の告白。ローマ・ミサでは階段祈祷に、ルター派礼拝定式では改革期と同様に準備式にある。文言は「父と子と聖霊の御名によって」「わたしたちの助けは主の御名にある……」。コンフィテオルのあとで、イントロイトゥスをもって礼拝が始まる。ローマ・ミサではコミューニオンの導入として用いられる罪の告白をコンフィテオルと言う。また時祷の初めの罪の告白もコンフィテオルと呼ばれる。
サクラメント〔ラ〕sacrament
キリストご自身が始められた聖なる儀式。目に見える徴によって、目に見えない霊的な、神の賜物が与えられる。だから教会自身がサクラメントであると言える。12世紀以来、ローマ・カトリック教会は七つ(洗礼、聖体拝領〔聖晩さん、エウカリスティア〕、告解、堅信礼、終油、叙階、婚姻)、東方正教会も同様七つである。ルターはサクラメントを堅持し、聖書はサクラメントがキリストによって定められたものであることを証ししているとしている。しかしルターはサクラメントを洗礼と聖晩さん(エウカリスティア)の二つにした(しかし最初は告解もサクラメントであった)ので、プロテスタント教会では二つのサクラメントのみである。
サクリスタイ(要具室)〔ラ〕sacristia〔独〕Sakristei
会堂の側室。礼拝用具、典礼書、典礼服などを保管し、また準備する場所。同時に礼拝司式者の準備式、あるいは個人的告解、小礼拝が行なわれる。
捧げもの〔ラ〕oblation
古代教会では聖晩さん(エウカリスティア)に捧げられるパンとぶどう酒。後になると自然の産物やお金が教会維持のために捧げられる。
讃歌〔独〕Hymnus
神への讃美の歌。詩編や教会歌と形式的に区別される。特に古代教会の有節歌詞の讃歌を指す。新約聖書に述べられているように(コロ3:16、エフェ5:19)初代教会より存在していた。4世紀以来讃歌は韻律と節をもつ歌詞となる。現存する最古のラテン語讃歌は4世紀のポワティエのヒラリウス(366年没)に由来し、西方教会へ導入の端緒を作る。西方教会での讃歌の開拓者はミラノのアンブロシウス(396年没)で、その大きな貢献の故に、彼の手になるものではないのにもかかわらず、テ・デウムは「アンブロシウスの讃歌」とよばれるほどである。時祷では聖書朗読の後。プロテスタント教会礼拝では、教会歌は一般に讃歌の働きを持つ。
サンクトゥス〔ラ〕Sanctus (「聖なる」)
ミサの聖晩さん(エウカリスティア)で、叙唱に続く歌。「聖なる、聖なる、聖なるかな・・」(イサ6:3)。叙唱の中にあるvere dignum(「当然でふさわしい事」)の意味するところの継続発展である。サンクトゥスの文言はシナゴーグ礼拝から受けついたもので、今日でもシナゴーグ安息日の朝の礼拝でこの言葉を聞くことが出来る。キリスト教会はサンクトゥスを三位一体論的に理解している。本来は会衆によって歌われたが、6世紀以来、次第に聖歌隊が歌唱を引き継くようになる。今日、ルター派教会の礼拝定式では会衆全体でベネディクトゥスとホザンナを含めて歌う。テルサンクトゥスとも言う。トリスアギオンとは内容が異なる。
撒香(さんこう)〔独〕Weihrauch
木の樹脂を熱して芳香ある煙を発生させること。キリスト教では4世紀に用いられる様になったが、プロテスタント教会では廃止した。撤香は礼拝の祝祭的な特徴を高め、立ち上る煙は祈りの象徴とされる。
讃頌句〔独〕Akklamation
忠誠を誓って嘆願する文言。または典礼中の讃美・嘆願。アーメン、キリエ、ホザンナ、アレルヤなど。
し
司教(監督、主教)〔英〕bishop〔独〕Bischof
新約聖書では「神の諸教会の世話をする者」(使20128)。長老と同じ場合が多い。ローマ・カトリック教会では、特別の叙階によって任じられる職務で、教会の特定の領域について最高の裁治権者。プロテスタント・ルター派教会では教区の教職者指導の任に当たる。
時祷(じとう、聖務日課)〔ラ〕officium〔独〕Stundengebet/Horen
ローマ・カトリック教会が司祭、修道者に与えた日毎の祈祷課題、3時間毎の祈祷礼拝。聖務日課書(Brevier)に要約されている。修道院では歌隊共唱の祈りとして守られる。
朝課〔独〕Mette,Matutin〔英〕matins 次の時課とともに真夜中過ぎ
讃課〔独〕Laudes〔英〕lauds 朝課の次に来る
一時課〔独〕Prim〔英〕prime 午前6時頃
三時課〔独〕Terz〔英〕tierce 午前9時頃'
六時課〔独〕Sexte〔英〕sext 正午キリストの昇天を覚える
九時課〔独〕None〔英〕none 午後3時 キリストの十字架上の死
晩課〔独〕Vesper〔英〕vespers 日没時に行なう,
終課〔独〕Komplet〔英〕comp1ine 一日の終わり
使徒憲章〔ラ〕constitutiones apostolorum
4世紀に由来する教会規定。
使徒信条〔ラ〕apostolicum
使徒に由来するとされるが、実際には2世紀後半の最初のエキュメニカルな信仰告白。プロテスタント教会では普通ニカイア・コンスタンティノポリス信条に代わって用いられる。
詩編唱〔独〕Psalmodie
グレゴリオ聖歌の形式で歌う詩編の歌。原則として詩編は三つの仕方、すなわち独唱(カントルが一人で)、答唱風(カントルが歌い、会衆または聖歌隊が「折り返し」で参加する)、交唱風(二つのグループの問で相互に歌いあう)の三つである。古代教会では詩編を答唱風に歌った。一つの詩編はイニティウム(開始)、テノール(保持部)、中間終止部、テノール(保持部)、終了終止に分けられる。旋律は詩編朗唱音に従う。ミサ典礼での詩編唱はいつも単旋律であるが、中世以来、詩編の多声楽作曲が始まった。
詩編朗唱音〔独〕Psalmton
詩編は一定の朗唱音を定めて歌われる。八つの朗唱音があり、これに第9音の巡礼音(Pi1gerton)が加わる。これはマグニフィカトに用いられる。
宗教改革記念目〔独〕Reformationstag
10月31日、あるいはその近くの日曜日。
宗教改革の会堂
既存の会堂をそのまま使用しながら宗教改革の礼拝観にふさわしい会堂改革が進められた。カルヴァンは会堂から祭壇や装飾を除き、聖晩さん(エウカリスティア)を行なう卓を囲む共同体の集まりの場所としようとした。プロテスタント教会固有の会堂は17-18世紀になって初めて誕生する。
十字を切ること〔独〕Kreuzsch1agen
ローマ・カトリック教会では、典礼でも私的な機会でも頻繁に行なわれる慣習であるが、プロテスタント教会の、例えばルター派では、祝福式や聖別式や告解の際に行なうほかはまれである。改革派教会では完全に廃止した。
集中型会堂
バジリカ型会堂とは違い、全ての部分が一つの中心の支配下におかれるように構成される。円形、六角形、八角形、多角形の外形、上には丸天井が作られる。ビザンチン様式では集中式会堂が流行した。コンスタンティノポリスのハギア・ソフィアはバジリカ型と集中型の混合である。
終末日曜日(主日)〔独〕Letzter Sonntag des Kirchenjahres(Ewigikeitssomtag)
教会暦の最終日曜日。
祝福(祝祷)〔ラ〕benedictio〔独〕Segnung
人間や物にたいして執り成しの祈りを捧げて、神の救いの業に委ねる定式。祝福は大抵動作を伴う。プロテスタント教会の祝福は、執り成しの祈りが中心であって相手に神の恵みがあるように祈る。しかし祝福は祝福を行なう者のたんなる希望を表すのではなくて、信仰によって祝福は、祈り願う神の力で満ちあふれている。
今日よく用いられる祝福の文言は「どうか父と子と聖霊があなた方を祝福してくださいますように」。ルターは「ドイツ・ミサ」でアロンの祝福(民6:24-26)を勧めている。
日曜日(主日)礼拝以外の、週日礼拝、洗礼式、堅信礼(けんしんれい)、結婚式、葬儀、その他の諸式によって祝福の文言を変える。祝福は広義では、礼拝でのあらゆる典礼的あいさつや説教壇のあいさつと祝福、平和のあいさつ・そして導入の文言「父と子と聖霊の御名によって」も祝福である。
主日日課〔独〕Lektion
日曜日(主日)礼拝での聖書朗読。
しゅろの主目〔独〕Palmsomtag〔英〕pa1msunday
教会暦の四旬節第6日曜日(主日)。
唱句〔独〕Versike1
短い定式、主として詩編から取ったものを唱句という。まず司式者や先唱者が唱句を歌い、これに対して会衆や聖歌隊が答唱で答える。これを答唱形式という。特に時祷で用いられ、唱句は個々の構成要素、例えば詩編と聖書朗読とを結びつけ、さらに後に来る要素の準備となるような内容を持つ。
これに対して答唱はその内に前の部分のテーマの余韻を残す。
ガリア式典礼やモサラベ式典礼では、唱句と答唱との組み合わせよりなる応答祈願(preces)が重要な役割を担う。
叙階式/按手礼〔独〕Ordination〔英〕ordination
ローマ・カトリック教会では聖職の権能を授け、これにふさわしい恩寵(おんちょう)を与えるサクラメント。プロテスタント教会では按手礼によって、牧師の就任式を行なう。
叙唱〔ラ〕praefatio
聖晩さん(エウカリスティア)の初めにある讃美と感謝の祈り。次にサンクトゥスが続く。す
スタティオ(集会指定聖堂礼拝・留(りゅう)礼拝)〔ラ〕Statio
教皇があらかじめ指定された会堂に都市ローマの教会員と共に出席するこ」
スルスム・コルダ〔ラ〕sursum corda(「心を高く挙げなさい」)
叙唱を導入する定式。
聖歌隊〔独〕Chor〔英〕choir
礼拝のなかで歌う合唱団で、会衆や司式者と交代で、あるいは会衆の代わりに礼拝で歌う。本来の聖歌隊の場所は、会堂の内陣にある聖歌隊席(chorraum)で礼拝の典礼歌、例えば詩編唱などを歌うのがその主な働きであるが、しかし典礼歌以外も歌う。さらに多声楽曲や多くの教会音楽作品を演奏して、教会礼拝の神への礼賛と告白と宣教のために奉仕する。
プロテスタント教会では、聖歌隊の演奏は特別な礼拝で行なう特別な事ではなく、礼拝の構成要素のひとつである。
名称としてほかに「歌隊」(かたい)がある。混声の他に、児童や青少年の聖歌隊がある。
正教会
会員数約1億8千万人。聖書と伝承を信仰の源泉とし、正統信仰の伝達のために使徒継承を重んじる。コンスタンティノープル、アレクサンドリア、アンティオキア、エルサレム、ブルガリア、ロシア、グルジア、セルビア、ルーマニア、ギリシア、キプロス、アルバニア、ポーランド、チェコ、スロバキアの15の自立教会からなる。
聖金曜日〔独〕Karfreitag
教会暦の受難週金曜日。
聖障〔ギ〕Ikonostasis
東方教会では礼拝堂の会衆席と祭壇とをイコンの壁で分けている。これを聖障と言う。
聖書朗読〔独〕Schrift1esmg
礼拝での聖書の朗読は、そのまま朗読する場合と、音を定めて朗唱する場合とがある。今日、ミサ礼拝では使徒書と福音書の2回の朗読が一般的である。
聖別〔独〕Weihe,Konsekration〔英〕consecration
制定の言葉を聖晩さん(エウカリスティア)のパンとぶどう酒の上で唱えて、キリストの体と血を担うものとなるように聖別すること。ローマ・ミサでは聖別によってパンとぶどう酒の聖変化が生じる。
東方教会ではエピクレーシスを唱える際に聖別と聖変化が生じるとする。さらにローマ・カトリック教会は、司教による修道女の着衣式や司祭の叙階や物の奉納(祭壇、鐘、墓所、会堂)も聖別すると言う。
プロテスタント教会では司祭叙階式に相当するものに按手礼がある。
聖務日課〔ラ〕breviarium(「目次、抜粋」)〔独〕Brevier〔英〕breviary
ローマ・カトリック教会の教職者の私的祈祷定式と本文の要約を収めたハンドブック。第二ヴァテイカン公会議以後は無くなり、教会聖務日課として統一版がでた。
セクエンツィア(続唱)〔ラ〕Sequenzia
アレルヤの最後の母音「ア」を引き延ばして音列を作って歌う歌い方があったが、9世紀以来、この音列に歌詞をつけた。これをセクエンツィア(「続く」の、意味)という。初期のセクエンツィアは長さの違う二組の詩節が特徴である。
有名なセクエンツィアとしては、聖霊降臨のセクエンツィア:veni sancte Spiritus、
終末日曜日〔主日)のセクエンツィア:dies irae、
復活日のセクエンツィア:victimae paschaliがある。
多くのセクエンツィアにはドイツ語の歌詞が付け加えられ、このようにしてドイツ語の会衆歌が生まれた。宗教改革はこの伝統を継承して、礼拝での使徒書と福音書との間に、日曜日(主日)の中心歌として、会衆歌を置いたのである。
セクサゲシメ〔ラ〕SeXageSimae
教会暦の四旬節前第2日曜日(主日)。
説教〔独〕Predigt
説教とは聖書を釈義しつつ、礼拝に集まる会衆に関係づけつつ、福音を自由に.語ることである。神が人類の救いのために行なったこと、行なわれていること、行なわれるであろうこと、また神が人類の生活を通して人類に望んでおられることを語ることである。
神の御業を説教することはキリストの十字架の死と復活のあと、使徒たちによって行なわれた。
彼らの説教は新約聖書の書簡に記され、教会の礼拝での聖書朗読によって聞くことが出来る。
口頭の説教は記された説教の継続と発展である。すでに記された事柄を、それぞれの時代と状況のなかにある会衆と結びつけ、継続発展し伝えたのである。
初代教会の始めは、Iコリ14:26以下によれば自由で霊の力に溢れた説教と旧約聖書の釈義があった。古代教会は洗礼志願者に説教を聞くことを許したが、聖晩さん(エウカリスティア)の始まる前に退席させた。
司教か司祭が説教を担当した。説教者は説教の際座り、会衆は立って聞いた。後世になると聖書朗読のアンボとカンセリから説教が行なわれる。中世後期、説教はミサから分離し、ミサに先行する独立した礼拝行為となる所もあった。このようにして説教礼拝とそれに伴う典礼が生まれたのである。ミサ礼拝では説教は礼拝の典礼の中で明確な場所を占めており、説教前に読まれる聖書朗読と密接に結びついている。しかしミサ礼拝で説教は典礼全体の中心ではない。むしろ典礼の構成要素のひとつとして、礼拝の聖書朗読と釈義の部分に属している。
説教歌〔独〕Predigtlied
説教の後に置かれ、内容的に説教と関連がある歌。
説教壇からのあいさつ
説教者が説教の前に唱える挨拶の定式。「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように」(Iコリ1・3)。
説教壇からの祝福〔独〕Kanzelssegen
説教の終わり、あるいは教会告知の終わりに唱える祝福の定式。宗教改革時代の定式は「アロンの祝福」を、今日ではフィリ4:7の「あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るように」が一般に用いられる。
説教礼拝〔ラ〕pronaus〔ヨ虫〕Predigtgottesdienst
中世後期に始まった説教を中心とした礼拝形式。説教のまわりを聖書朗読と祈りが囲んでいて、さらに使徒信条による告白や公同の罪の告白が続く。
セプトゥアゲシメ〔ラ〕septuagesimae
教会暦の四旬節前第3日曜日(主日)。
洗足木曜日〔独〕Grundonerstag
教会暦の受難週木曜日。
洗礼〔独〕Taufe
水という目に見える徴を持って行なわれるサクラメントであって、これによって一人の人間がキリストの教会の一員とされ、約束の聖霊を受ける(マタ28:19以下)。
洗礼志願者〔独〕Katechumene〔英〕catechumen
洗礼を受けることを志して、キリスト教信仰の研修を受けようとする者。
古代教会では復活日に洗礼式が行なわれるので、四旬節の初めに志願の受付があり、志願者は四旬節の間、毎日、研修と悪魔祓い(あくまばらい)に参加し、四旬節の第3、第4、第5日曜日(主日)の3回、会衆の前で公けの諮問を受ける。7世紀からは諮問会は7回行なわれるようになる。諮問に合格したものは洗礼諮問会長の証明書を受ける。
洗礼志願者のミサ〔独〕Katechumenenmesse
ミサの第1部(み言葉の部)のことで、洗礼志願者は出席を許される。そして第2部(聖晩さんの部)の始まる前に退出する。
ち
長老〔独〕Presbyter
初代教会では教会の指導の任にあたる者で、霊的な経験のために、特別な奉仕と責任とを委ねられた者(Iヘト5:1)。プロテスタントの改革派教会では、長老は牧師とともに長老会を構成し教会の責任を負う。
つ
通常式文〔ラ〕ordinarium
ローマ・ミサ典礼で教会暦によって変化せず、いつも定まっている部分の全体を言う。キリエ、グロリア・イン・エクセルシス、クレド、サンクトゥスとベネディクトゥス、アニュス・デイがそれである。これにたいして教会暦で変化する部分を固有式文と言う。
て
定式/規定〔ラ〕ordo〔独〕Ordnung〔英〕order
礼拝の秩序。また教会規定、教職者の身分など。;
滴礼〔ラ〕aspersio
洗礼の形式のひとつで、頭上に水をそそぐ。
徹夜課〔独〕Vigil〔英〕vigi1
時祷で、一定の祝日の前夜に徹夜で祈ること。たとえば降誕日前夜(クリスマス・イヴ)には降誕日(クリスマス)徹夜課がある。
テ・デウム・ラウダムス〔ラ〕Te Deum Laudamus
古代教会の讃歌のひとつ。名前は冒頭の文言「あなたを、神よ、わたしたちはたたえます」から来る。アンブロシウスの讃歌とも言われる。テ・デウムはザカリアの頌歌と共に、時祷の朝課のカンティクムである。
典礼〔ギ〕leitourgia (「職務の遂行」)〔独〕Liturgie〔英〕liturgy
典礼はキリスト教礼拝全体、およびその全ての部分を指す。
ギリシア語のleitourgiaは古代世界での民衆のための公の奉仕や職務、および職務の遂行、さらに神殿における儀式の執行を意味していた。ギリシア語聖書のセプテュアギンタでは祭儀を意味する。
これに対して新約聖書は、初代教会の礼拝にこの言葉を使うのに慎重である。
その後東方正教会ではleitourgiaでもって礼拝全体を指すようになる。
16世紀、人文主義の影響下にあったプロテスタント改革派教会で礼拝定式の意味で用い(リューネブルクのキリスト教礼拝定式、1531年)、次に英国教会で、18世紀になるとルター派教会でも用いるようになる(ヴィルペノレム3世のアジェンダ草案、1817年)。次いでローマ・カトリック教会で教皇ピウス6世が1794年に、また教会法典の中で(1917年)、教皇ピウス12世の下で、そして第2ヴァテイカン公会議で(「典礼はイエス・キリストの祭司職の遂行」と定義)用いられた。
典礼において一方では垂直(神一人)の交わりが実現するのみならず、他方で水平(人一隣人一世界)の交わりを課題として担うべく人はこの世に押し出される。
と
答唱〔ラ〕responsorium
一人、あるいは複数の先唱者と、会衆との問で交代で歌われる歌。二つの聖歌隊の間で交互に歌われる歌は答唱ではなく、交唱である。
本来詩編は今日のように交唱形式ではなく、答唱形式で歌われた。また時祷で聖書朗読を答唱で答える。
ドクソロジー(頌栄)〔独〕Doxologie〔英〕doxo1ogy
礼拝の祈りの一般的な終わり方を言う。また主の祈りの終わり方「国と栄とは限りなく……」を言う。これはプロテスタント教会や東方正教会では用いるが、古ローマ.カトリック教会では用いない。グロリア・イン・エクセルシス(大グロリア)とグロリア・パトリ(小グロリア)をドクソロジー(頌栄)と言う。
トリスアギオン(三聖唱)
インプロぺリアの構成要素。ギリシア語とラテン語の両方で唱える。十字架につけられたキリストヘの拝礼の思いを表す。「聖なる神よ、聖なる力よ、聖なる永遠の命よ、わたしたちをあわれんでください……」と唱える。
トロプス〔独〕Trops
自由な、多くは祝日に行なわれるもので、定められた典礼文へ追加すること。例えば「キリエ」と「エレイソン」との問に関係文章を挿入するような場合がそれである。本来は散文であったが、後に韻律や韻をふむものが現れる。
は
バジリカ型会堂〔ギ〕basilike(もと「王宮」の意)
コンスタンティーヌス大帝時代の、長方形の会堂様式。身廊(しんろう)と側廊(そくろう)とに分かれ、後陣(こうじん)で終わっている。後に翼廊(よくろう)が加わって全体が十字状を成す。西方教会の会堂建築発展の基本である。
パテナ〔ラ〕patene(「皿」)
オブラータをのせる皿。
バロック型会堂
造形芸術では1550年から1770年までを指し、これをさらに初期、盛期、後期に分ける。華麗な様式、豪華さへの情熱、感覚への効果の追求がその特徴である。
ローマ・カトリック教会はバジリカ様式を十分に消化して、礼拝に役立つように用いた。方形、長方形、円形、さらに楕円形の会堂を造り、彫刻や絵画と相まって、会堂は信仰者のための儀式的ドラマの舞台装置となった。さらに秘儀や法悦、天国や地獄を自然主義的技法で描いた壁画が効果を一層高めた。
プロテスタント教会のバロック様式は、説教中心会堂がその典型である。豪華に作られた説教壇とオルガンを中心とした集中会堂形式で、祭壇と共に統一した全体を構成している。
ひ
秘儀(ひぎ)保持の原則〔独〕Arkandisziplin
ある特定の教義や儀式や慣習を世俗の影響を受けないように秘密にしておくこと。
ふ
プロテスタント教会
宗教改革によって新たに生まれた教会。ドイツではルター派教会、改革派教会、および合同教会を言う。
復活日前夜徹夜礼拝〔独〕Ostervigi1
復活日前夜に行なわれる、本来は徹夜の、実際は深夜に行なわれる礼拝を言う。洗礼も執行する。
へ
平和のあいさつ〔ラ〕pax(「平和」)
「主の平和があなたとともにあるように」。古代教会の平和のあいさつは、接吻によってあいさつする当時の習慣と結びついた。平和のあいさつはまず聖晩さん(エウカリスティア)の前に、また叙唱の前にもある。今日のルター派教会アジェンダによれば、平和のあいさつは、聖晩さん(エウカリスティア)の分餐の前にもある。
ベネディカムス〔ラ〕benedicamus(Domino)(「(主を)たたえよう」)
時祷とミサのしめくくりの文言。
ベネディクトゥス〔ラ〕benedictus
新約聖書のザカリアの頌歌(ルカ1:68-79)。時祷の朝課のカンティクム。またイエスがエルサレムに入城された際に群衆が歓呼して迎えたが、その時の頌歌(マタ2119)。「主の名によってこられる方に、祝福があるように。いと高きところにホサナ」。ミサではサンクトゥスに続く「主の名によって来られる方に讃美」。
ベネディクト修道会
ヌルシアのベネディクトゥス(549年没)が創設した修道会。祈りと労働が基本。典礼研究に大きな貢献をしている。
ベネディチテ(・オムニア・オペラ)〔ラ〕benedicite omnia opera
炉の中の3人の若者の頌歌。ローマ・ミサの後で司祭が祈る感謝の祈り。
ペリコーぺ〔独〕Perikopen
主日聖書日課。特定の日曜・祝日礼拝での聖書朗読のための定式。福音書と使徒書から(時には旧約聖書から)聖書の一部が引用される。古代教会の聖書日課の他に、新しいものが種々ある。
ベルノイヒェン運動〔独〕BemeuchenBewegmg
1923年よりプロテスタント教会で教会と礼拝の革新のために起こった運動。広い影響を与えた。
ほ
ボイロン(修道院)
ベネディクト会修道院。ローマ・カトリック教会の典礼の保護と育成のために多大な貢献をした(たとえばショット版ミサ典礼書)。
奉納〔ラ〕Offertorium
ローマ・ミサで奉納の準備をすること。また奉納時に唱える歌。
ホザンナ
イエスがエルサレムに入城する際に、迎えた群衆が叫んだ歓声(ヨハ12:13)。聖晩さん(エウカリスティア)典礼の一部で、サンクトゥスとベネディクトゥスの後に唱える。会衆はホザンナによって、エウカリスティアに現在するキリストを確信してたたえる。
ホスティア〔ラ〕hostia(「いけにえ」)〔独〕Hostie
聖晩さん(エウカリスティア)の聖パン。パン種をいれないねり粉を薄い円盤状に焼いたもの。ローマ・カトリック教会では聖変化前はオブラータ、聖変化後はホスティアと区別する。プロテスタント教会では区別しない。
ま
マニフィカト
マリアの讃歌(ルカ1:46-55)で時祷の晩課のカンティクム。東方正教会では日曜日早朝礼拝の構成要素のひとつ。西方教会ではグレゴリウス大教皇の改革以来、時祷の晩課に用いる。マニフィカトにつけられた作曲作品は多い。
み
ミサ〔ラ〕m1ssa〔独〕Messe〔英〕Mass〔仏〕messe中世、
西方教会で形成されたキリスト教の主要な礼拝。み言葉の部と聖晩さん(エウカリスティア)の部の2部からなっている。
ミサの名称はミサ閉祭の文言に由来する。一般にミサはローマ・カトリック教会の礼拝を指すものとされてきたが、しかしミサのすべてがプロテスタント教会の礼拝観と根本的に相容れないものではない。
聖晩さんを含む日曜日の主礼拝を、他形式の礼拝と区別するために、ルター派教会ではミサの名称を用いている。ルター自身、彼が構想した礼拝定式を「ドイツ・ミサ」と名付けている。従ってミサは原則としてローマ・カトリック教会のミサだけではなくて、西方キリスト教会の聖晩さん(エウカリスティア)を含む礼拝を指し、個々の部分についての神学的解釈の相違があるにもかかわらず、ローマ・カトリック教会やルター派のミサなどには根本に共通する構造がある。
ルター派教会のミサ礼拝は三つに分けられる。第1部は礼賛(Anbetung)であってイントロイトゥスからコレクテまで。
第2部はみ言葉を聞く箇所で、聖書朗読に始まり、説教で終わる。
第3部は聖晩さん(エウカリスティア)の部である。他の分け方、例えば説教を中心として、その周りに開祭部と閉祭部とを設けるような場合(説教礼拝)、それはルター派礼拝の立場から離れることになる。
礼拝での会衆歌や聖歌隊合唱、器楽伴奏や合奏などは、礼拝のたんなる装飾的挿入や芸術的補充ではなく、礼拝定式のそれぞれに該当する構成要素と同じものと見なされる。
音楽上での「ミサ曲」はミサ通常式文に作曲したものを言う。バロック時代よりミサ曲は典礼的性格を次第に失い、器楽伴奏による叙唱(レシタティーブ)、アリア、合唱を伴った純粋な音楽作品となった。
ミサ典礼書〔独〕Missale
ローマ・カトリック教会のミサの定式と文言をすべて収めた。
ミゼリコルディアス・ドミニ〔ラ〕miseri kordias domini
教会暦の復活後第2日曜日(主日)。
ゆ
ユディカ〔ラ〕judika教会暦の四旬節第5日曜日(主日)。
ユピラーテ〔ラ〕jubilate教会暦の復活後第3日曜日(主日)。
よ
要素(物素)〔独〕Element
聖晩さん(エウカリスティア)のパンとぶどう酒を指す。種なしパンを用いるか、種入れのパンを用いるかは教会によって違う。イエスの最後の晩さんの際は種なしパンであった。 古代教会は10世紀までは種入れのパンを用い、それ以後は種なしパンを使うようになる。9世紀よりホスティアの形式が採用され、今日でもローマ・カトリック教会やルター派教会ではホスティアを用いている。
ぶどう酒は、過越の祭りの際は赤ぶどう酒に水を混ぜた。この習慣はギリシア・ローマ時代を経て、今日にも受け継がれている。プロテスタント教会の典礼では純粋なぶどう酒を用いる。ぶどう酒の色は重要ではない。
ら
礼讃(崇敬)〔ギ〕proskunesis〔独〕Anbetung
神の前に脆き、讃美しつつ礼拝すること(黙4:9-11)。キリストも礼賛の対象である(黙5:8-14)。中世以来、教会は特に、聖晩さん(エウカリスティア)のパン(ホスティア)に現存する救い生への礼賛の儀式を発展させた。
ライス〔独〕Leis
名前はキリエ・エレイソンから由来。エレイソンの長くのばされた旋律に、ドイツ語歌詞がつけられ、会衆によって歌われれライスはいつも各節で・キリエライスで終わった。後にライスからドイツ語教会歌が始まった。
り
リタニー(連願)〔独〕Litanei
長い執り成しの祈り。聖歌隊か司式者が祈りの意向を唱えると、会衆が種々の短い定式で繰り返し答える(「主よ、あわれんでください」など)。
る
ルブリカ〔ラ〕rubrica
典礼を正しく執行するために定式書の中に赤字で記された注意書書き。
れ
礼拝〔独〕Gottesdienst
広義では礼拝はキリスト教信仰と生活全体を総称する概念(マタ22:36-40、ロマ12:1)。狭義ではイエスの御名によるキリスト教会の集りの名称。典礼と同義語。
レクティオ・コンティヌア〔ラ〕lectio continua
聖書の連続朗読。
レターレ〔ラ〕1aetare
教会暦の四旬節第4日曜日(主日)。
レミニスツェレ〔ラ〕reminiszere
教会暦の四旬節第2日曜日(主日)。
ろ
ロガーテ〔ラ〕rogate
教会暦の復活後第5日曜日(主日)。
ローマ・カトリック教会
会員は4億6千万人。信仰の源泉を聖書と使徒たちの伝承に置く。325年のニカイア公会議以降の決定が最重要であるが、全世界の最高首長であるローマ教皇が、聖書と伝承の伝える真理の最終的解釈者として教導職を行使する。第2ヴァテイカン公会議以後各国の司教協議会に大幅な権限委譲がなされた。
ロマネスク型会堂
ロマネスク時代は前ロマネスク(1000年一)、初期ロマネスク(1100年一)、ロマネスク盛期(1180年一)、後期ロマネスク(1180年一1240年)に分かれる。11-12世紀のロマネスク様式は殆ど教会芸術と言っても過言ではなく、主要な成果は教会建築である。
著しい特徴は方形状様式と切石の多用にある。バジリカ様式を発展させて、翼廊と後陣による本屋東側の強調は、西側に立派な正面入り口と、東と同じような内陣をもうけた(二重内陣)。また重点を多塔構造においた。ゴシック型会堂のように全体の統一を理想とせず、部分建築物を一つに集める集合建築である。特徴は円形と平面様式による変化、穹窿(きゅうりゅう)構造、そしてロマネスク型の柱頭は立方体を基本として、下部の四つの角が丸くなっている。
後期ロマネスク時代に会堂装飾が非常に発展する。会堂内外の彫刻は初めは厳密で巨大な記念像であったが、後になると、彫像の身体性を強調するようになる。しかし依然として自然からはほど遠いかたくなさを保っている。
洗礼盤や聖遺物を収める箱、燭台や聖杯(ケルヒ)には貴金属や象牙が用いられた。壁画、ステンドグラス、装飾画、エナメル画、書籍の挿し絵に絵画が活躍した。
壁画は会堂正面に置かれ、しばしば金地の上に描かれた。しかし板絵は稀であった。
ロマネスク型会堂は「神の城」、ゴシック型会堂は「地上における天上界の徴」と言われる。
ロマネスク時代の典礼は、初代教会の捧げたような共同体全体の礼拝ではなく、祭壇で教職者が行なう典礼を、信者が崇敬の念をもって見守りながら、各自は信心に基づいた祈りを唱えた。コミューニオンに与るのは稀という状況下にあった。
キリスト教小辞典 終わり
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