〜 『関さんの森』と3.3.7道路問題から学ぶ 〜
地権者と市民が動いて、強制収用ではなく、話し合い解決を実現させた |
2009年 2月 5日(木)、15:30から、松戸市政の中で大きな懸案事項であった「関さんの森」と3.3.7道路問題に関して松戸市長と地権者の間で「基本合意書」の調印が交わされました。6日には新聞各紙やコアラテレビ等が「関さんの森」道路問題を大きく報じています。その場での川井市長、地権者の関 美智子さん、関 啓子さん姉妹は以下のようなあいさつをされました。
▼ 譲歩に譲歩を重ねて、信頼関係をつくり、話し合い解決へ
- 【市長挨拶】
- 今日、合意書にサイン、文書を取り交わして私としてもほっとしている。関さんには一歩も二歩もお譲りいただいた。都市計画道路としては困難なので、松戸市道として193mをつなげる新しい道を作る。関さんと行政と市民の協働による新しい市道づくりに取り組む。今後も想定しないようなことが起きるかもしれないが、関さんと十分な信頼関係を構築して新しい道づくりを推進していきたい。ご理解をいただいく中で合意書の調印となった。道路建設の一歩を踏み出せた。これをスタートとして、道づくりが始まる。今後ともよろしくお願いする。
- 【関 美智子さん】
- ここまで長い道のりだった。今回、合意ができて良かった。松戸では、街のみどりがなくなっている。森をあのままの姿で残したいというのが私たちの願いである。森と共生共存できる道づくりとしたい。ここまで本当に、本当に長い道のりであった。譲歩し譲歩して、なんとか今日、合意できて良かった。これが第一歩だと思っている。今まで、道づくりは行政の仕事であったが、これから、行政と市民と地権者とで道を作っていきたい。対立した形でなく、仲良く楽しく道がつくれたらと思う。未来の子どもたちにプレゼントできるものを。
- 【関 啓子さん】
- 私たちの願いは里山を残したいということ。話し合い、譲歩に譲歩を重ねてなんとかここまで。小さいながらひとかたまりの里山が残せたと思う。支援者の方、マスコミの方のおかげであるし、市長さんの熱意が大きい。会う度に信頼が増し、松戸の原風景を残したいという気持ち、松戸に対する愛情を感じた。信頼できる方と道路づくりができればと思う。高い理念、新しい理念で、行政と地権者と市民が楽しく道づくりをしていく。私たちも精一杯努力したいと思う。
▼ 里山は環境教育やケア・憩いの公共空間に!
この「基本合意書」調印後、関さん姉妹は「関さんの森エコミュージアム」に関係する市民宛に以下のような感謝と今後の決意を述べています。
強制収用手続きが始まってからというもの、長く厳しい闘いでした。署名活動、立ち入り調査の際の抗議行動、シンポジュームやフォーラムなどのイベント、挙げればきりのないほど多様な活動で、里山を守っていただき、誠にありがとうございました。筆舌に尽くしがたく、感謝いたしております。譲歩を重ねざるを得ず、守られる里山は小さくなってしまいますが、それでもひとかたまりの里山が、みなさまのご支援のおかげで残ります。里山は環境教育やケアや憩いの公共空間として生き続けることになります。
未来の子どもたちのためにこの里山が元気な状態でのこるように、エコミュージアムの確立と発展に、引き続きご支援をたまわりたくお願い申し上げます。まっさきにお礼メールを打つべきでしたが、美智子も啓子も合意書作成の詰めの段階で体調を崩し、調印後ほっとしたためか風邪の高熱に悩まされ、送信が遅れました。ご容赦くださいませ。
関 美智子・啓子
▼ 長く厳しい闘いの結果が、「関さんの森エコミュジアム」を残した!
この基本合意書によって、関さんから提案された『道路案』に基づいて協議が進められます。上下2車線6mの車道。カーブ部分では７m。路肩、歩道を合わせて15mが基本案。都市計画線は残され(凍結)、暫定的に松戸市道として建設。道路部分として約5000�屬�なくなるので、2.1haの約七割、1.5haが残されます。新設道路案が成文化すれば、最終合意となり、スムーズに行けば10年初めには着工。工事は約1年間の見込み。予定していた事業費は約8億円。関さんからの用地の寄付もあります。
議会の反応は、いまだ都市計画決定の193mを開通してほしいという声もあります。市長は、幹事長会議で「基本合意」の内容を説明し、3月定例会でも3会派からの質問だ出されました。
この基本合意で、強制収用の道はなくなりました。私たち市民たちは、話し合い解決を求めて、昨年8月に「関さんの森を守る市民応援団」を発足させ、5ヶ月間、松戸市内の主要駅頭・繁華街でこれまで経験したことがないほどの賛同署名活動を繰り広げました。市民の反応は大きくて、「都市の中の里山は残すべきだ」との切実な訴えが圧倒的でした。また、マスコミやインターネットの力で、松戸市民だけでなく全国からの支援を受けて、話し合い解決と里山を守る大きな世論がつくられました。このような経験は松戸の市民運動では初めてのことだと思います。
5回にわたって市長に提出された署名数の合計は32,037筆となりました。署名活動にご協力をいただいた方々に深く感謝します。
未来の子どもたちのために、この里山が元気な状態で残るように、エコミュージアムの確立と発展のため引き続き関っていきたいと思います。
2009.03.12 - 吉野 信次 -
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