| 一斉休業・漁業ゼネストが問いかける課題 |
2008年 7月15日、「漁に出られん! 生きていけない!」「国は漁業を守れ!」「国は燃油価格に補てん措置を講じよ!」と全国漁協組合連合(全漁連)など漁業の主要17団体が燃油高騰による漁業の危機的状況を訴え、全国20万隻が参加した一斉休業・漁業ゼネストが実行されました。
全国各地で集会やデモ行進が行われ、都内では、全国から3千人以上が結集して「漁業経営危機突破全国漁民大会」が開催されました。集会後に、デモ行進し、政府に漁民の怒りを突きつけました。
漁業関係者が、全国的な一斉休業・漁業ゼネストを実施することは歴史的なことです。
▼直接補てん等実効性ある支援策を!
全国漁民大会で、主催者あいさつに立った全漁連の服部会長は「漁業者の自助努力は限界を超え、瀬戸際に立たされている。生産体制の弱体化は水産食料の安定供給に支障をきたし、地域社会・経済の崩壊につながる」と述べ、「もはや時間はない。漁業・漁村を守る責務が国に問われている」と指摘しています。
原油高で漁船の燃料の価格が、キロ当たり約11万5千円となり、この5年間で3倍にも急騰しています。この原油高で、経営は圧迫され、漁に出れば出るほど赤字になるという危機的悪循環が全国で広がっているからです。
集会では
- 燃油価格への必要な補てん措置
- 税制、金融措置における抜本的対策
- 国際原油市場への無秩序な投機資金の流入の規制
- 漁業用燃油の安定供給確保
を強く求める決議がされ、政府に提出されました。
魚価は主に市場での競り取引で決まるため、漁業者の意向を価格に反映することは困難な仕組みとなっています。イワシやサバなど主要魚種の平均産地価格は5年前の3割高の水準で、燃料価格の上昇分を補うには全く不十分な状況です。
福田首相は、与党と相談して「7月中に対策を打ち出したい」とのコメントを出しています。もはや融資や省エネなどの間接的な対策では、漁業経営を維持することは困難なことは明白です。一刻も早い燃油高騰に対する直接補てんなど実効性のある支援策を打ち出すべきです。
▼漁業者の死活問題は、市民の魚食文化の危機だ!
この危機的状況を放置すれば、多くの漁業者が廃業に追いこまれ、地域経済の崩壊や日本の魚食文化の崩壊にもつながりかねません。
原油高の主犯は、集会決議でも出されている国際原油市場への無秩序な投機資金の流入に他なりません。
ところが、洞爺湖サミットで議長国の福田首相は、投機マネー問題では、「透明性の確保」なる提起だけで、直接規制など実効ある対策を何ら打ち出せませんでした。
燃油高騰は漁業者の責任ではない緊急事態であり、価格転嫁が困難な漁業者に対して政府が緊急な対策を立てることは当然です。
漁業者の危機的状況・死活問題は、魚を食する消費者・市民にとっても一大事です。地球温暖化問題、食糧・水危機と一体の問題として、福田政権に即刻の対策を要求していきましょう。
2008.07.17 - 吉野 信次 -
|
|