| 長寿がつらく、不満・怒りが拡大の後期高齢者医療制度は中止・廃止させよう! |
日本の医療保険制度を根本から変える後期高齢者保険制度がスタートしました。長寿を祝うどころか、高齢者に肩身の狭い思いをさせ、全国中から怒りが拡大しているこの制度を、福田政権は「長寿医療制度」と呼び始める茶番を演じ始めました。
▼高い保険料を容赦なく徴収
2008年 4月から、75歳以上の高齢者は、これまで入っていた国民健康保険や組合健康保険などから全員脱退させられ、強制的に新しい制度に加入させられました。年齢で差別する医療制度は、皆保険制度の国では他に例をみません。
高い保険料負担は原則、年金からの天引きです。多くの自治体では、4月15日に振り込まれる年金から、2か月分の保険料(厚労省試算で平均1万2千円程度)が引かれます。年金は増えないうえ、急騰する物価値上げの中で高齢者の生活が直撃されます。年金額が月1万5千円以下の人は、天引きでなく、保険料を自分で納めます。高齢者が保険料を払う能力のない場合は、世帯主に支払う責任・義務を負わせています。1年以上保険料が払えない場合は「悪質滞納者」とみなされ、保険証を取り上げられ、代わりに「資格証明書」が発行されます。そうなると、病院の窓口でかかった医療費は全額支払わなければなりません。「病院に来るな」ということです。
▼差別医療制度の提唱者は誰だ
2008年 4月から75歳以上だけを区別した新しい診療報酬(医療の値段)の体系が導入されました。
75歳以上の人は、
- 治療が長引き複数の病気にかかっている
- 認知症が多い
- いずれ死を迎える
という定義で「安上がりで手抜き」の医療になろうとしています。
2008年 4月からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を中心に新しい健康診査制度(特定健診・特定保健指導)が、40歳から74歳までを対象に始まりました。ところが、75歳以上は、自治体の「努力義務」とされ、対象から外されています。
このような差別的な高齢者医療制度を提唱してきたのは、医療保険の負担逃れを狙う財界です。財界は対象年齢を65歳への引き下げや、財源として消費税の増税を主張しています。この意向を受けて政府は、高齢者の医療費を削減する制度を導入しました。「医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者にも感じ取っていただく」(厚労省担当者)と語っています。
厚労省の試算では、2015年に3兆円の医療費の削減を予定し、そのうち2兆円は75歳以上の分です。2025年には、8兆円の削減のうち、75歳以上の医療費が5兆円を占めます。医療費削減のために、後期高齢者を狙い撃ちにしているのです。
▼高齢者いじめの政治に未来はない
今、市町村窓口への住民からの電話が鳴りやみません。「誰が決めたのか」との抗議が殺到しています。厚労省は、「年金天引きの制度をつくったのは国、などという対応はしないように」との自治体に求める手引きを作成し、現場に責任を押し付けだしています。
約1,300万人が、一時期に新制度に移行するにもかかわらず、政府の対応は「場当たり的」です。保険証が6万3千件以上も届かない異常事態が起きています。自治体から「現場を知らない制度設計だ」との批判も上がっています。茨城県や青森市などの医師会では、この制度をボイコットするところもではじめています。マスコミでも大きく取り上げ、問題点を紹介しだしています。国会では4野党が連携して、この制度の廃止法案を提出しています。
戦後の混乱時から長年にわたって社会に貢献してきた高齢者の医療を、財源を理由に、真っ先に切り捨てるような政治や国に明るい未来はありません。「生活優先」を掲げた福田政権は、道理がまったくなく、差別的な後期高齢者医療制度を即時に中止・廃止すべきです。市民は、この差別医療制度が変えられるまで、大きな世論にしていく義務があると思います。
2008.04.13 - 吉野 信次 -
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