メッセージ
Last Update : 2008/03/21 
<<メッセージ一覧に戻る

食糧の自給率向上と食の安全を真剣に考え、国民運動にするとき

  中国製ギョーザ事件を契機に、日本の食糧自給率と食の安全問題が再びクローズアップされています。

市民団体の中でも論議が

  最近、筆者が関る三つの市民団体等でも大きな話題となりました。

  1つは、19年前から月刊で発行するミニコミ誌『たんぽぽ』では、食糧の自給率問題が大きな話題となり、4月号の特集で「食糧自給率の向上と食の安全」をテーマに、4人の生産者や消費者から問題提起をいただく企画をしました。初めての試みです。

  2つは、14年前から柏市の船戸という地域で40町歩も米づくりをしている染谷茂さんの田んぼを借りて米づくりをしている「染谷さんちの米クラブ」という市民団体があります。 3月8日の今年のキックオフ会合で、食糧の自給率問題がこれまた大きな話題となりました。これまで米作りだけを楽しんできた米クラブが、今年は6〜7月頃に、 松戸と拍の2地域で、食糧の自給率と食の安全をテーマに、関心のある生産者や生協・市民団体と共同でシンポジウムの開催を決めました。

  3つは、生活クラブ生協新松戸デポ支部でも、2月の総会で、中国製ギョウザ事件が話題となり、生活クラブでは扱っていないから安心だという認識だけでとどまってはいけない。食糧の自給率向上と食の安全は表裏一体の問題だとの論議がされ、生産者との交流を強化することを確認しています。

自給率の向上は可能か

  こうした動きの中で、3月7日、日本共産党が「農業再生プラン」を提案し、週刊誌『東洋経済』の2月23日号では、食糧危機を特集に扱っています。

  工業製品を輸出して、農産物を輸入するとの自民党政権の食糧戦略が続く中で、日本の農業は崩壊寸前まで追いつめられています。先進国でも、食糧の自給率が日本のような4割(主要穀物)をきってしまった国はありません。どの国でも、高い食糧自給率を確保するために農業助成金制度などの食糧戦略を持っています。

  日本の農家人口は約312万人、うち65歳以上が6割を占めています。この現状が後10年も続けば日本の農業は崩壊します。このような食糧の危機的状況にもかかわらず、いまだ水田では減反政策が続けられています。農水省等は、日本の農業の課題は、後継者の育成と遊休農地の解消を上げていますが、後継者が農業を続けられる環境をつくることが大きな課題です。
  農業・農家を食い物にする構造を変えることも重要です。全農や農機具メーカーなどによる「悪徳商法」によって、肥料や除草剤、農機具等が異常な高価格で農家経営を苦しめています。

各地に、食糧の自給率向上と食の安全をめざす実行委員会を!

  食糧の危機が到来しても、現状では自給率を高める対策が立たないと言われています。

  今こそ、生産者ばかりか多くの市民・消費者が、食糧の危機をどう見るのか、食糧の自給率を高め、食の安全を守るためにはどうしたらよいのか等の国民的な論議を起こしていくときです。当面、食糧自給率を5割まで回復することを国政の最重要課題とさせる世論をつくりだしたいものです。

  食糧の自給率向上と食の安全問題を考え、大きな世論とするためにも、全国各地で、生産者、生協、市民団体等が連携して、具体的な論議と行動を検討していくときです。食糧の危機を主体的に考える論議と行動を追求しましょう。


2008.03.21 - 吉野 信次 -    
上に戻る