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Last Update : 2008/02/28 
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イージス艦なんていらない!!
〜 イージス艦あたごの漁船衝突事件と防衛省の情報隠しに抗議する 〜

  2008年 2月19日 午前 4時、海上自衛隊イージス艦「あたご」が、ハワイ沖で対空ミサイルSM2の発射試験を行った帰途、マグロはえ縄漁船「清徳丸」に衝突し、吉清治夫さんと息子の哲大さんが今なお行方不明になっています。

危機管理失格!

  清徳丸の僚船の証言や海上保安庁の調べによれば、あたごが回避義務を怠ったことは明らかになっています。しかし、この間の海上自衛隊および防衛省の対応はあまりにひどい。

  事故当初から状況説明を二転三転させたばかりか、石破防衛大臣は記者会見よりも自民党への説明を優先させ、自衛隊幹部は被害者親族に取材拒否を要求さえしたとのことです。

  また、「捜査協力」をタテに客観的・基本的な事実の公表さえ拒み、あいまいな説明に終始しています。

  そもそも、なぜ艦長(舩渡健1等海佐)が真っ先に被害者家族に謝罪し、会見に応じなかったのか(やっと、27日に実行)。

  さらに、漁船発見時刻に関して、石破大臣による情報操作とも言うべき公表の遅れも発覚しています。そこにあるのは「自己防衛」隊と化した姿だけです。

全ての情報を開示し、責任者の処分を!

  守屋前防衛次官による軍産疑獄や、インド洋での海自艦船による給油偽装など、自衛隊・防衛省の情報隠しと責任逃れが問題になったばかりなのに、何ら反省が見られません。

  20年前の1988年、30人もの命を奪った潜水艦「なだしお」による衝突事件の際の、航舶日誌改ざんに見られた隠ぺい体質は未だ変わらないと言わざるを得ません。

  防衛省・自衛隊は、二人の捜索に全力を挙げるとともに、全ての情報を開示し、責任を明確にし、責任者を処分し、被害者に対して真摯な謝罪と補償をすべきです。

1,400億円もの巨費で建造

  それと共に私たちは「そもそも日本にイージス艦が必要なのか」との根本的な問いを立ててみる時だと思います。

  排水量7,750トンで国内最大の「護衛艦」であるあたごは、三菱重工長崎造船所で約1,400億円もの巨費をかけて建造されています。2005年に進水、2007年 3月に就役し、「こんごう」型護衛艦4隻に次ぐ5隻目のイージス艦となっています。最新イージスシステムを装備し、こんごう型以上の高度な防空戦闘能力を有するミサイル防衛(MD)対応艦です。

  あたごは、現行のSM3ミサイル配備計画には組み込まれておらず、約31億円を費やしたハワイ沖での発射試験で使用したのもSM2でした。その理由は、日米で共同開発中の次世代型SM3の対応艦として温存されているからです。

  01年度の「中期防衛力整備計画」で取得が示され、2002〜2003年度で費用計上されたあたご型護衛艦の一番艦であるあたごは、単なる5隻目のイージス艦ではなく、MDの柱の一つである次世代SM3配備を前提とした海自護衛艦隊の再編の要に位置するものです。

利権まみれの偽装兵器

  そもそもMDは「スパイラル(らせん状)開発」の名で未完成兵器を配備し、更新し続ける「利権まみれの偽装兵器」に他ならなりません。

  2007年12月、こんごうが「成功」させたとされるSM3による迎撃実験も、1発20億円、総経費60億円もの巨費をかけて、発射施設や飛翔コースが分かっている模擬弾に命中させたに過ぎません。まさに「やらせ」のミサイル発射実験でした。

  2015年の配備が予定される新SM3の日本負担の共同開発費は、2014年までの9年間で10億〜12億ドルに及ぶといいます。

  また、新SM3は射程が伸びるため、ハワイやグアムを含む米国土に向かう弾道ミサイルの迎撃が想定されており、憲法が禁じる集団的自衛権の行使に踏み込むことが前提となっています。

  さらに日米の軍需産業は、共同生産した新SM3の輸出をにらみ、武器輸出禁止三原則の更なる破壊に向けた圧力を強めてさえいます。

  加えて、日米軍事再編の進行の中で、あたごは米海軍との共同軍事作戦にのめり込む恐れが高いと言われています。その先にあるのは他国民の殺傷に他なりません。

  私たちが未来を透視し、今ここで止めなければ、あたごは憲法九条をも「轟沈」するでしょう。

脱軍事化への世論を!

  莫大な税金を浪費して、先制攻撃を促進し、憲法や産業のあり方にも変更を迫る次世代型SM3。それを搭載するあたご型護衛艦隊。それらが、私たちの生活を脅かすものであることを、今回の「衝突」は予兆しています。

  防衛省・自衛隊は、今回の衝突事件を真摯に反省し、次世代型SM3の共同開発やその配備を前提とした護衛艦配備計画そのものを取り止めるべきです。軍産疑獄の帳本人である守屋前次官が主導したMD推進政策そのものも見直すべき時です。

  さらに見逃せないのは、今回の事故を口実とした、背広・制服組の一体化を柱とする防衛省再編の企です。 3月にも設置される「法制検討チーム(仮)」は、海外派兵恒久法やサミット警備を口実とした「対テロ」軍事化をも協議することにしています。「盗人猛々しい」とはこの事です。

  「自動操舵」状態で軍備強化へと突き進む福田政権に対して、私たち自身が手動で強く、脱軍事化へと舵を切らなければならない時です。

重大事故の責任を取って、石破防衛大臣は辞任を!

  私たちは福田政権および防衛省・自衛隊に対して、以下の要求をしていきたいと思います。
  1. 重大事故と情報隠しの責任を取り、石破防衛大臣は辞任すべきです。防衛省・自衛隊は全ての情報を開示すべきです。
  2. イージス艦やMDは日本に必要なく税金の無駄です。MDから撤退し、違憲艦となる「あたご」をまず廃艦にすべきです。
  3. 「機能する」 = 戦争できる自衛隊を目指す防衛省再編を中止すべきです。防衛省・自衛隊は解体に向けて縮小を検討すべきです。


2008.02.28 - 吉野 信次 -    
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