| 福田政権は、直ちに「集団自決」検定を撤回しろ! |
9月29日、沖縄県宜野湾市開催された「教科書検定意見撤回を求める県民集会」は11万人もの参加で開催されました。高校教科書検定で、政府・文科省が沖縄戦での「集団自決」を日本軍とは無関係かのように「日本軍による命令・強制・誘導」の表記を削除させたことに沖縄県民の怒りが爆発したからです。「集団自決」否定は、安倍前政権が進めてきた侵略戦争美化と一体の攻撃でした。
▼撤回まで戦い抜こう!
今、沖縄県民の怒りは、福田政権に大きな打撃を与えています。15日、9.29集会の「集団自決」検定を撤回しろ! との県民の怒りの声を受けて、県民大会実行委員会は、首相官邸を訪ね、検定意見撤回と軍の強制・関与記述の回復などを求める要請文を大野官房副長官に手渡しました。
この代表団は、実行委員会を務めた22団体の代表や超党派の地方議員ら167人です。代表10名が官邸に入り、大野官房副長官に、あらためて検定意見の撤回を強く求めました。大野官房副長官は「私たちも大変重く受け止めている。総理、官房長官に伝えたい」と述べていますが、福田首相や町村官房長官は、要請団とは会っていません。「政治介入との印象を与えるのは好ましくない」との判断からだと言います。
この要請行動後の夜には、「東京沖縄県人会」と「大江・岩波裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」主催の「教科書検定意見撤回を求める10.15緊急集会」が、国会近くの星陵会館で開催(650人参加)され、要請団のメンバーも参加して、「撤回まで戦い抜こう」と確認しています。福田政権に、撤回を確約させるまで戦いを進めましょう。
▼侵略戦争を美化させないために、沖縄県民と連帯して
沖縄県民の怒りの声を受けて、福田首相は、国会答弁で記述復活に柔軟に対処する方向を示しています。実質見直しに動いた背景は、福田政権がアジア外交重視、改憲論議への慎重姿勢など、安倍前政権の歴史認識での保守・タカ派色からハト派志向へとスタンスを変えようとしているからだと言われています。
安倍前政権は、「軍隊慰安婦」問題でも、軍による「狭義の強制性を裏付ける証拠はない」と日本軍の関与を認めていた河野洋平官房長官談話(1993年)の見直しを求め、外交問題化しました。「軍の関与」問題は、「自虐史観」論によって、侵略戦争を美化する「歴史教科書グループ」からの影響を受けたものです。このグループが中心で起こした集団自決への軍の有無をめぐる民事裁判の影響が大きく反映されています。
今回の沖縄島ぐるみ闘争は、戦後沖縄史の中で3度目です。1度目は、1950年代の米軍に対する土地闘争、2度目は1995年の少女暴行事件に始まる反旗地闘争です。いずれも米軍に対する物理的強制、暴力に対する抵抗でしたが、今回の戦いは「精神的基盤を崩す精神的暴力への抵抗」で、これまで以上に県民の怒りが大きくなっています。
私たちは、今回の沖縄県民の怒りを日本全土の市民・民衆の怒りに転化し、「沖縄戦」を学び直すことが求められています。軍隊は住民を守らないこと、米軍再編と日米両軍の一体化によって、自衛隊が世界中どこでも侵略戦争に加担ができる体制がつくられだしていること、この憲法違反の事実を学び直し、憲法9条を活かす世論を大きくしていきたいと思います。
2007.10.16 - 吉野 信次 -
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