| テロ特措法はいらない! 貧困解決の支援を! |
秋の臨時国会が始まりました。大きな目玉・焦点は、テロ特措法の延長か、否かではないかと思います。
▼政権を投げ出す覚悟
安倍首相は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の後の記者会見で、「職をかけて、ダメならば総辞職も辞さない」などと悲壮感あふれる角番発言をしました。衆参院で与野党のよじれ現象の中でも、総辞職をかけてテロ特措法の延長または新法の成立をめざす決意を示したものです。
なぜ、政権をかけてテロ特措法にしがみつかなければならないのか。この6年間の「対テロ」戦争の経過をどのように見ているのか、大きな成果が得られたと評価しているのか。「不変の日米同盟」の神話の前で、現実を見ない、事実に即せない狭さく的視野状況が支配しているのではないかと思います。
▼「対テロ」戦争は失敗
早いもので、米国に対する「同時多発テロ」から6年が経ちました。「同時多発テロ」直後、自制心を失ったブッシュ政権は、自衛権の行使と称してアフガニスタンへの「報復戦争」を開始しました。集団的自衛権の行使を決めたNATOを巻き込み、攻撃作戦を強化・拡大させていきました。圧倒的武力の差で、タリバン政権を転覆させました。ところが、6年経った今日、アフガンの事態はどうなっているでしょうか。反政府勢力のタリバンが再び大きな力で反撃を始め、最悪の状況が生まれています。
「報復戦争」には、国連安保理事会のお墨付きもありません。「同時多発テロ」直後の安保理決議では「行為の実行者、組織者及び支援者を援助し、支持しまたはかくまう者は、その責任を問われる」として、国連加盟国に協力を要請したのであって、戦争を容認していません。
この6年間の「対テロ」戦争は、完全に失敗だったと総括するところから出発すべきです。小泉・安倍政権は、米国の意のままに自衛隊を戦場であるインド洋に派兵し、米軍などの艦船に燃料を補給してきました。「対テロ」戦争の支援結果は、テロ行為と武力報復の悪循環を助長しただけです。最近では、艦船の燃料補給もイラク戦争のためではないかとの指摘もされています。安保理決議に根拠がなく、集団的自衛権行使にもなる憲法違反の自衛隊派兵と補給支援活動は即刻やめるべきです。
▼地域から、粘り強く貧困をなくす支援を!
この松戸では、米国のアフガン侵略開始日に「戦争を許さず、平和を考え行動する松戸市民の会」(略称グリーン・シード)が誕生しました。以降6年間、松戸駅東口で毎週土曜日の午後(この2年間は、月2回)、「米国はアフガン、イラクへの侵略戦争はやめろ! 日本政府は米国に加担するな!」「対テロ戦争でなく貧困の解決を!」と市民に訴え、アフガンで医療の支援活動をしているペシャワール会に集まったカンパを送っています。もう58万円にもなりました。
ペシャワール会の現地代表の中村哲さんは「アフガン戦争が何をもたらしたのか。現地を見ると、破壊以外のものは少なかった。アフガンでの最大の問題は、人びとが生活できない状況になっていること。戦争どころじゃない、外国人は出て行ってほしい、というのがほとんどの人の気持ちだ」と率直に述べられています。
テロをなくすためには、その温床となっている貧困そのものを、国際的な連携でなくしていくことしか道はないと思います。安倍政権は、テロ特措法ではなく、貧困対策を率先して提案しろ! との世論を国会に届けましょう。
2007.09.11 - 吉野 信次 -
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