メッセージ
Last Update : 2007/05/08 
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60歳で殺すな!
  戦後62周年、憲法が施行されて60年になりました。憲法も還暦を迎えました。人生80歳余の日本では、憲法が光り輝くのもこれからです。

  ところが、安倍首相の日本軍「『慰安婦』の強制性の否定」発言が、中国、韓国をはじめ、近隣アジア諸国はもとより、米国、カナダ、ヨーロッパ等からも厳しい批判と抗議を受けています。この批判と抗議は、前小泉首相の靖国参拝強行によって引き起こされ状況と似ていませんか。

  このような厳しい批判と抗議は、戦後62年たっても、A級戦犯を合祀する靖国神社への閣僚や議員の参拝、侵略戦争を賛美するかのような「歴史教科書」の採用や「慰安婦」記述の削除、「君が代」「日の丸」の強制、日本軍「慰安婦」、強制連行・強制労働被害者の放置など、自己反省に立つ「歴史認識」を退ける政策が公然と推し進められているからだと思います。

  日本国政府の孤立は、日本政府が自らの歴史を誠実に振りかえらない、「歴史的な償いを行動で示さない」ための結果にほかならないと思います。前小泉政権の5年間は、「反省とお詫び」を裏切る行動ばかりでしたが、今こそ、植民地支配と侵略戦争を「反省」し「お詫び」を言葉だけでなく、行動で示す時だと思います。

  こうしたアジアと世界に、自己反省に立つ「歴史認識」を行動で示せない中で、さらに逆行する恐ろしい行動が政府・与党によって急ピッチで進められています。憲法を改悪し、海外で戦争ができる国家づくりが進められているからです。60年前、私たちは、世界の人びとに約束しました。「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を高らかに示しました。憲法9条は、世界の人びととの素晴らしい約束です。ところが憲法を守らなければならない政府が、憲法改悪の先導を務めています。「日米同盟」を錦の御旗に、武力を背景に世界を支配しようとする米国の世界戦略に迎合し、近隣諸国の脅威を煽りたて、国民の不安を増幅させ、海外で戦争ができる国づくりを強行しようとしています。

  ところが世論調査では、「日本に平和があり続けたことに9条は役立ってきた」と8割の人びとが評価しています。現在、世界で軍隊を持たない国が27ヶ国あります。今こそ、戦争の世紀だといわれた20世紀を越えて、暴力と戦争の廃絶を志向する21世紀をつくることが求められています。今こそ、日本は「平和を希求する国際社会において名誉ある地位を占めたいと願う」行動を推進すべきときです。だからこそ、政府・与党が進める憲法9条を改悪し、海外で戦争ができる国づくりに強く反対します。

  そのために、憲法改悪の手続きを決める改憲手続き法案を何としても廃案にしたいと思います。5月7日には、福岡市と札幌市で参院憲法調査特別委員会の地方公聴会が開催されましたが、衆院の地方公聴会と同じく法案に対する批判が続出しています。札幌の公聴会では、小坂弁護士から世論調査結果が紹 介されました。『北海道新聞』(4/29)で掲載された「憲法道民世論調査」によれば、国民投票法案に対する態度で「どちらともいえない」が46.4%と 最多となったこと。昨年まで圧倒的多数であった賛成が激減し、態度保留が5割近くになったのです。この変化は、当初「手続き法」ならばよいのではないかと考えていた人が、出された法案の問題点を少しずつ知って「考えていたものとは違う」と考え始めたからではないかと思います。反対の20.6%と合わせると法案に賛成しない世論が7割近くになっています。

  法案の内容でも、法案賛成の公述人からさえ問題点が指摘され、欠陥だらけの法案であることが明らかになりました。これまでも指摘されてきましたが、「有効投票総数の過半数」という国民投票の承認要件、最低投票率の定めがないこと。国民投票運動に対する規制が広範で 曖昧であること、特に公務員の国民投票運動が禁止されていることです。公務員といえども主権者の1人として、将来の憲法に対する意見表明の自由があります。改憲案の周知期間が60日と短いことも、国民の間で十分な論議・検討ができないままで、イエス・ノーの態度が求められることになります。

  憲法施行60年、憲法9条が地球破壊の進む中で、暴力と戦争をなくし、環境破壊をストップしていくためにも光輝く時です。世界の人びとに約束してきた「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を今こそ、実現することを世界に宣言するときです。そのためにも、改憲手続き法案を大きな世論で廃案に持ち込みましょう。

2007.05.08 - 吉野 信次 -    
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