| 議員特権の是正を! |
4月8日、第16回統一地方選前半選として、13都道府県知事選、4政令市長選、44道府県議選、15政令市議選の投開票が一斉におこなわれました。この選挙結果をどのように分析・評価されているでしょうか。
知事選では、東京都知事選で、石原3選を阻止し、浅野知事の誕生を期待しましたが、結果は、大差の敗北となりました。人権無視、強権政治がまた4年間も続くかと思うと、うんざりします。ただ、投票率が9.41ポイントも上昇し54.35%になったことが救いです。
44道府県議選では、自民党が前回の1,309議席から1,212議席と97議席も減らしました。民主党は前回205議席から375議席と170議席の躍進を果たしています。
千葉県議選でも全国の傾向を示して、自民党は前回の60議席から50議席と10議席減、民主党は12議席から20議席と8議席増やしています。
▼吉川ひろしさん、見事当選!
私たち1000人の会でも応援した柏選挙区の吉川ひろしさん(無所属)は、5名の定数で8名の立候補という激戦の中で、17,414票を獲得(2位)し、見事当選されました。感激です。ネット(市民ネットワーク千葉県)が前回と同じ2名の当選でしたので、前議会と同じく会派を組むのでしょうか。
吉川ひろし陣営は、無所属であり、大きな組織が応援する選挙ではないため、多くの市民がボランティアで選挙戦を進め、統一地方選挙で大きな課題となった「議員特権」に的を絞って、市民に訴える戦術を取りました。
▼県民が知らない議員特権!
県議会の議員特権の目玉は、「費用弁償」と「政務調査費」だと思います。費用弁償(いわゆる日当)について、多くの県民が知りません。議会に出席すると、千葉市に住んでいる議員には一日12,200円、千葉市以外の議員には14,600円が支給されています。1956年から支給され、年間6,300万円にもなっています。
吉川議員は4年前、県議に当選した際に議長に費用弁償(日当)の廃止を申し入れ、受け取り拒否を発表し大きく報道もされました。それまで、日当を貰いながら、その事実を公表する議員は誰もいませんでした。議員には高い報酬が出されているのですから、報酬の二重取りです。吉川議員は、98人いた議員の中でただ1人、受け取りを拒否(法務局に供託)してきています。ちなみに、松戸市議会には、費用弁償はありません。
「政務調査費」は、千葉県議会では1人当たり月40万が出されています。額の多寡もありますが、政務調査費の公開をするかどうかで、議会の透明度が計られます。何に使ったのか、領収書の添付と公開は当然ですが、千葉県議会では、領収書の公開もされていません。昨年12月議会で県民から出された「費用弁償の支給の廃止と政務調査費の領収書の公開を求める請願」に、自民党と民主党は反対したため、不採択となっています。
議員特権の是正の訴えは、市民から共感され、その共感の輪が、前回の得票数を大きく上回って、当選した原動力ではなかったかと思います。
▼議員特権を是正し、開かれた議会を!
今統一地方選で、議員特権の是正が大きな焦点になっています。この動きを創ったのは、2月9日夜、千代田区の日本教育会館で開催された「なくそう! 議員特権 つながろう! みどり・共生・平和の市民派議員 キャンペーン2007」主催による "全国自治体議会ワースト議員特権コンテスト" ではなかったかと思います。多くのマスコミがこの取り組みを報道し、議員特権に的を絞った情報が提供されました。
このコンテストの開催に当たって、キャンペーン2007は、昨年秋に全国の自治体議会の議員特権に関する調査活動を実施しています。この調査活動を踏まえ、議員特権に関する応募が求められました。
集まった応募事例の中から、9日のコンテストに9つの事例がノミネートされました。この9つの事例を、当日参加した参加者222名が投票し、コンテストの順位を決めています。
第3位は、埼玉県議会で39点。埼玉県議会議員6人が、2003年11月にベトナム・タイを公費視察した際、売春疑惑が取りざたされたケース。6人は、疑惑を否定しつつも、視察費用530万円を議長にいったん返還。ところが議長は後で530万円を6人に渡す。6人の買収疑惑を県議会が公認したしまったことになりました。
第2位は、横浜市議会で45点。海外視察で当選1期目は60万円、2期目以上は120万円が、4年間の任期ごとに支出。さらに、議員表彰も豪勢。在職20年目から、5年おきに「10万円相当の好きな商品」と「額入りの肖像画」がプレゼントされます。
第1位は、東京都議会で54点。都議会議員の政務調査費は、議員1人につき月額60万円(自治体議会の最高額)もあるのに、使い道の公表はおろか、領収書の提出も必要ない。どのように使おうが議員の勝手。議員表彰もスゴイ。勤続25年(7期当選)で、太田道灌像(約9万円)とエメラルド入り記念章(5万6千円)がもらえる。さらに、勤続30年(8期当選)で、肖像画(65万〜90万円相当)とダイヤモンド入りの記念章(6万3千円)がもらえます。
これらのワーストベスト3位だけでなく、議員特権は「公金の無駄遣い」「市民感覚とずれている」象徴です。
15日告示の後半戦でも、議員特権の是正と開かれた議会を訴える市民派候補者の応援をしていきたいと思います。「議員特権をキッパリ拒否」できる議員を議会に送り出すことこそ、議会を市民感覚と同じレベルにすることが、議員のレベルを高めていく大きな課題だと思います。
2007.04.09 - 吉野 信次 -
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