頭越しの在日米軍基地の再編・強化に 反対する声と行動を!
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日米安保協議委員会(2プラス2)による在日米軍基地の再編に関する合意(10月29日の中間報告)は、関係自治体の頭越しの合意であり、基地周辺自治体や住民の期待や願いを完全に裏切るものとなりました。
▼ 絶対に容認できない!
この中で最も注目されていた米軍普天間飛行場移設問題では、沖縄県名護市のキャンプ・シュワブを活用した一部海域(大浦湾)の埋め立て案が合意されています。辺野古沖案を「苦渋の決断」として受け入れた地元自治体や沖縄県も、軍専用施設となる沿岸案は基地固定化につながりかねず、住宅地に近くなり騒音や事故の危険性も増大するなどとして、「絶対に容認できない。これならば県外移設しかあり得ない」と強く反発しています。
さらに、この案でいけば2013年まで普天間飛行場はそのままの状態が続くことになり、これでは問題の根本解決にはならず、沖縄の基地負担は何ら軽減されません。
▼ 強権政治は許せない!
そればかりか日本政府は、こうした地元の意向を無視し、辺野古沿岸埋め立て海域(公有水面)の使用権限を知事から国に強引に移す特別措置法案を年明けの通常国会に提出する検討に入ったと伝えられています。
こうした日本政府のやり方は、1999年の駐留米軍用地特措法改正に続き、都合の悪いことは法改正や新法によって封じ込めようという、およそ民主主義とは無縁の、あからさまで場当たり的な強権政治となっています。
しかも駐留米軍用地特措法と同様、一部地域だけに適用される立法を制限する憲法を逆手にとって、全ての米軍基地の移転問題でも適用できるようにする方針とされているのです。
このような御都合主義的強権政治は、憲法と国民への重大な挑戦であり、基地のある無しにかかわらず、国民生活にとって最も身近で重要な地方自治そのものを蹂躙し否定するものです。
▼ 人権や環境の配慮がまったくない!
今回の合意には、基地や部隊の縮小整理なども含まれてはいます。しかし、例えば沖縄海兵隊の7,000人削減案についても、実戦部隊はそのまま居座ることになり、演習の被害は一向に減らないことになります。
この他、一部の縮小整理などがある一方で、座間への米陸軍第一軍団司令部の移転や国内での基地たらい回しなど、いずれも米軍基地問題を根本的に解決するものではなく、基地周辺住民の負担の軽減や基地縮小整理への日米両政府の強い意志は全く感じられません。
それどころか、米軍と自衛隊の共同基地使用、共同訓練が盛り込まれるなど、明らかに日米安保体制の強化であり、質的転換となっています。いったい、沖縄の基地問題はいつになったら解決できるのでしょうか。日本の米軍基地は、いつになったら米国本国並みに周辺住民の人権や環境が配慮されるようになるのでしょうか。政府は、いったいいつになったら国民や自治体の意志と向き合うのでしょうか。沖縄の、そして日本全国の自治体や住民は、もはや我慢することができません。
▼ 大きな世論に!
基地を抱える各地の自治体首長は「絶対に容認できない」「計画が撤回されるまで運動を進める」と猛反発をしています。日米合意による沖縄新基地について『琉球新報』がおこなった沖縄県民世論調査では、9割以上の県民が反対を表明しています。
今回の日米合意は、住民を無視し、憲法と地方自治を破壊するものに他なりません。私たち市民は、頭越し合意に強く抗議するとともに、各地の自治体首長、地域住民、市民団体等が自らの主権を守る立場から、共に声を上げるように働きかけていきたいと思います。
そのための主張は、
- 日本政府は、今回の米軍再編合意を破棄し、基地周辺自治体や住民の立場に立ち、基地の整理縮小のためあらためて米国政府と交渉すること。とりわけ、海兵隊は海外へ移転させること。
- 日本政府は、普天間基地移設問題で名護市辺野古沿岸でのヘリ基地建設に関連した埋め立て海域(公有水面)の使用権限を知事から国に移す特別措置法案の国会提出をやめること。
です。
2005.11.15 - 吉野 信次 -
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