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Last Update : 2005/09/14 
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巨大化した小泉政権に、どう立ち向かうのか
  9.11総選挙はハリケーンのごとき小泉旋風が猛威をふるい、自民党の「歴史的大勝利」となりました。自民党・公明党合わせて327議席は、衆議院の3分の2を超える議席数です。民主党は、113議席で解散前から64議席も減らす惨敗となりました。得票数では、自民党は民主党の1.3倍、しかし議席数では4倍です。小選挙区制の特徴が如実に示された選挙だと思います。

  投票率を見ますと、小選挙区の投票率は、全国平均で67.51%、前回より7.65ポイントも上がりました。「小泉劇場」がもたらした大きな効果だと思います。最高は島根県の75.81%、最低は沖縄県の62.35%でした。千葉県は64.59%で、下から5番目ですが、それでも7.77ポイントも上がっています。

  総選挙の争点は、国・地方合わせて1,000兆円もの借金を抱える中で、持続可能な社会をどう創りだしていくのか。小泉政権の "無能外交" によって、全面的な対立状況に陥っている北東アジア外交をどう立て直していくのか、憲法・外交が問われる選挙だったと思います。

  ところが、小泉自民党によって「郵政民営化に賛成か反対か」の国民投票的な二者択一の選挙に変えられました。多くの有権者は、単純な択一方式に乗って、小泉自民党を選択したのだと思います。小泉首相の「私は、国民の声を聞いてみたい」「郵政民営化に賛成か、反対か」「改革の前進か、後退か」この短いフレーズの繰り返し戦術は、電通などの宣伝戦略だともいわれ、テレビのCMや街頭演説で繰り返されました。明らかに有権者への「洗脳」でした。総選挙を「国民投票」に転嫁させた小泉自民党の戦術が勝利を生み出したのだと思います。

  さらに、政・官癒着、「公務員天国」を破壊する「強いリーダー」を求めたのかもしれません。都市部の無党派層の大半が、小泉自民党を支持したことが「歴史的な大勝利」を決定づけたと思います。小泉戦略とこれに追従する多くのマスコミの宣伝に敗北したのだと思います。

  この4年間の小泉改革によって、多くの有権者が社会のあらゆる場面で痛みを背負わされ「弱肉強食の社会」「勝ち組・負け組」の選別を強いられています。それにもかかわらず、「小泉構造改革の幻想」を取り払えなかった背景には、小泉改革の新自由主義政治の問題点を判りやすく提起し、対抗戦略を打ち出すことが野党や私たちにできなかった、戦略的な敗北でもあったと思います。

  いま、「小泉ガリバー」の出現、巨大化した小泉政権に対して、野党ばかりか私たち市民や労働者はどう立ち向かうべきか。特別国会での郵政民営化法案に反対する闘いはもとより、大増税との闘い、大幅な福祉切り捨てとの闘い、自民党結党50年を契機にした教育基本法や憲法改悪に反対する闘い、自衛隊のイラク派兵反対など全方位平和外交を求める闘い等々が待ち受けています。巨大な政権のアキレス腱をついての不屈の闘いが開始されます。

  そのための私たちの戦略は、暴走するグローバリゼーションから脱却し、環境、非暴力、多様性、地域主権を保障した公正で民主的な社会に向けた舵取りではないかと思います。人間が生態系の一部であることを謙虚に認識し、小欲知足の原則に立ち戻り、自然と共生できる経済構造と暮らしへの転換、豊かな市民社会をつくり出すことだと思います。既存の野党に期待する道ではなく、混沌とする時代だけに、これら「みどりの基本理念」と「新しい緑の政治」を実現する運動こそ、この日本で本格的にスタートさせなければならない時だと思います。

  そのためには、「地方から政治を変える」闘いをよりいっそう重要視し、自治体選挙や多様な市民運動や労働運動の変革を通じて、草の根の力、市民や労働者の力横に繋がり、足腰を鍛えるところからスタートするときだと思います。この新しい課題に挑戦することこそ、小泉政権との本格的な闘いではないかと思います。

2005.09.14 - 吉野 信次 -    
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