「ポスト」の正式名称は「郵便差出箱」と言うそうです。
「丸ポスト」の正式名称は「郵便差出箱1号丸型」といいます。
余談ですが、現在設置されているポストは、1号丸型、1号角型、
2号、3号、4号、特4号、6号、7号、8号、9号、10号、11号、12号、
13号、14号の15種類だそうです(記念ポスト、丸型庇付ポスト
のような例外もありますが)。
今回は、「郵便差出箱1号丸型」(丸ポスト)をいろいろな
角度から眺めてみることにします。
全体
郵便差出箱1号丸型は、昭和24年(1949年)から使われ始めました。
逓信総合博物館で入手した資料によると、本体は高さ約135cm、
直径約40cm。根石(土台の石)は高さ約20cm、直径約60cmだそうです。
設置されている丸ポストを見ていると、根石の高さ、直径には
結構ばらつきがあるように思えます。また、高さ約135cmというのは
現在使用されているポストの中で最も高いものです。
写真の丸ポストは、投函口と回収口が同じ方向を向いていますが、
投函口と回収口の向きは変えられるようになっています。
この向きを変えられるのは郵便差出箱1号丸型のみで、それ以前の
丸型ポストでは向きを変えることができなかったようです。
頭部
丸ポストの頭部(てっぺん)は3つの輪が重なったようなデザインと
なっています。郵便差出箱1号丸型以前の丸ポストも輪が3つの
デザインが多いようです。機能的な理由ではなく、過去のポスト
のデザインに従い、郵便差出箱1号丸型でも3段の輪になっている
のではないでしょうか(勝手な推測です)。
てっぺんには出っ張りがあるのですが、この部分は六角形の
ネジのような形をしています。六角形になっているのは単なる
デザインなのか、それとも本当にネジになっていてこれを
回すと何かが起こるのかはわかりません。ひょっとするとこの
ネジを緩めて投函口と回収口の向きを変えたりするのかも
しれません(これも勝手な推測です)。
投函口
投函口周りですが、丸いデザインとなっています。
明治41年から使用された回転式赤色ポストというポストがある
のですが、そのポストでは投函口部分が回転式の円盤となって
おり、その円盤を回し投函口を開け投函していたそうです
(手をはさんだりすることや、可動部分が故障することも
あったらしいです)。
それ以降の丸ポストの投函口周りが丸いデザインとなっている
のは、回転式赤色ポストのデザインを受け継いでいるのかも
しれません。
郵便差出箱1号丸型の投函口周りですが、上から庇(ひさし)が
あり、庇の下に投函口、その下には「郵〒便」と「POST」の
文字があります。庇は本体といったいとなっているのではなく、
本体に5本のネジで取り付けられています。また、投函口には
白い鉄板が奥に向けてとりつけられています。
側面
投函口に向かって左側側面には、収集時刻の表が取り付けられています。
上から平日の収集時刻、休日の収集時刻が記載されており、
その下には収集を担当している局の名称、郵便番号があります。
展示品となっている丸ポストの収集時刻表は取り外されている
ことが多いのですが、昔の表がそのままついたままになっている
展示品もあります。残っている場合には一番したの局名部分を
見て現役時に設置されてた地域がわかることもあります。
回収口
回収口は四角い形をしています。向かって右側に蝶番があり左から右へ
開きます。左側に鍵穴、下側に長方形の窓があります。
この窓ですが、良く見ると中に金属製のプレートが入っています。
何のためにあるのか理由はわかりません。(※1)
※1
(2003年1月追記)
回収口の金属製プレートですが、たくさんの方から情報を
いただきました。このプレートは「便札」(びんさつ)と言うそうです。
便札には、「次は○号便」のように次の回収便が記載されており、
側面の回収予定時刻と比較すれば回収される時刻がわかるとのことです。
便札は回収のたびに差しかえるとのこと。
左側の写真は見にくいのですが、「次は2号便」
と書かれています。
掲示板、メールで情報をくださった皆様、本当にありがとうございました。
お礼申し上げます。
下部
ポストの下の方ですが、胴体がやや広がるデザインとなっています。
投函口と反対側の最下部には、「昭○○□□製」という文字が
入っていますが、何度もペンキを塗り重ねられて読めなくなって
いるポストが多いです。
左の写真は、「昭32吉村製」と書かれており、
製造年と製造会社名ではないかと思っていますが、
正確なところはわかりません。製造会社名と思われる
部分ですが、「三谷」、「昭和」、
「吉村」、「新東洋」という名称をいままでに確認
しています。私が確認した範囲では、「吉村」、「新東洋」
が多いようです。
根石
丸ポストの土台部分の石は「根石」と言うそうです。
高さ、直径には結構ばらつきがあるように思われます。
なかには根石が全部地面に埋まっているポスト、コンクリート
で作られているものなどもあります。
時には写真の根石のように、「昭33.2」と製造年か設置年と
思われる日付が彫られているものもあります。
推測で書いている部分が非常に多くなってしまいましたが、
どうかお許しを。
(2001年7月)
(2003年1月 「便札」に関する記述を追加)
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