○はじめに
本シナリヲの適正プレイヤー人数は3人である。
よって、4人以上でプレイしたい場合は導入を追加したり、殺戮者、敵ゲスト、トループを強化したりといろいろ処理をする必要がある。
なお、適正人数未満でのプレイはお勧めしない。
本シナリヲでは専用の戦略マップを使用する。わりとボードゲームに近いかも。
本シナリヲは謎解きとか、NPCとの熱い絡みとかそういうのはないので、そういうのがお好みの人はお勧めしない。
○背景
クロースナー伯オットーは突如、近隣の小国を併呑した。そして、クラインゲルト伯爵領の持つ砦にもクロースナー伯の軍が迫っていた!
○PlayerCharacter
・PC.1
推奨アルカナ:ルナ(現在)
因縁(過去):PC.3(遺言)
因縁(現在):クラインゲルト伯(主人)
初期設定:クラインゲルト伯に仕える間者。
・PC.2
推奨アルカナ:コロナ(未来)
因縁(過去):クラインゲルト伯(保護者)
因縁(未来):PC.1(なんでも)
初期設定:クラインゲルト伯の甥/姪。次期クラインゲルト伯。
・PC.3
推奨アルカナ:アダマス(過去)
因縁(過去):クロースナー伯(同志)
因縁(現在):PC.2(友人)
初期設定:クロースナ―伯に仕えていた元騎士。現在は修行の旅を続けている。
○殺戮者
クロースナー伯オットー(ヴァルター、男、42歳)
グラディウス、コロナ、アルドール
小国クロースナー伯国を治める領主。かつては領民のためのよき支配者であったが、妻を流行り病で亡くして以来、人が変わったかのように過酷な統治をしき、近隣諸国に侵略戦争を仕掛ける。
殺戮者になった理由:妻を亡くして自分の無力を思い知る。妻を亡くした心の隙間を埋めようとなかば自暴自棄的に隣国へ侵攻するも、戦場という狂気に酔いしれ、闇の鎖にとらわれる。さらなる人の血と統治すべき民を目指す。
○Non-PlayerCharacter
クラインゲルト伯(ヴァルター、男、51歳)
アダマス、コロナ、コロナ
小国クラインゲルト伯の領主。若くに妻を亡くし、それ以来独身を貫く。よって、子供はいない。
○導入フェイズ
・クロースナー伯の城/シーンプレイヤー:PC.1
PC.1以外は登場不能。
クロースナー伯の城に潜入していたPCは、クロースナー伯が大軍をもってクラインゲルト伯領に攻め入るとの情報を得る。
PCは軍議に忍び込む事に成功する。
軍議にはクロースナー伯とその参謀(現在/アクシス)と幾人かの将軍たち(エキストラ)が参加している。 クロースナー軍の戦略は、まず、陽動舞台をクラインゲルト領の入り口にある二つの砦に送り、そちらに兵を引きつけておいて、クロースナー伯率いる本隊がシャーヘンシュロス(クラインゲルト伯居城)を陥落させる。
陽動だと気づかせないため、陽動舞台は大軍、本隊は少数精鋭部隊にする。
なお、クロースナー伯は殺戮者である。よってPCとクロースナー伯には聖痕の共振が発生する。
クロースナー伯の頬にあるコロナの聖痕から血が流れる。それの血をぬぐって曰く、「どうやら鼠が迷い込んだようだな。であえい、曲者じゃ!」
・戦場跡/シーンプレイヤー:PC.3
PC.2は登場不能。
PC.3は修行の旅でこんな噂を耳にする。クロースナー伯が近隣の小国を大軍をもって侵略している。
あのクロースナー伯がそんな事をするはずがない。そう思ったPCは真相を確かめるべく戦場に向かう事にした。
立ち寄った村はクロースナー軍が駐屯していた。そして、略奪や暴行が行われていた。そのとき、君を不審に思った兵士数名(エキストラ)がPCに歩み寄ってきた。
・クラインゲルト伯の城:シャーヘンシュロス/シーンプレイヤー:PC.2
登場キャラクター:PC.1、PC.2、クラインゲルト伯、幾人かの将軍たち(エキストラ)
PC1からの情報を得たクラインゲルト伯は敵本隊の捜索と殲滅をPC.1に任ずる。
クラインゲルト伯「なに、敵がこちらの何倍の兵力であろうと、大将はこちらもあちらもお互いに一人だけじゃ」
○展開フェイズ
註:このフェイズにおいて、ゲームマスターはシーン冒頭でシーンプレイヤーにどこでどのオプションをとるかを聞く。PCのとれるオプションは以下に示す通りである。
舞台に登場している、シーンプレイヤー以外のPCもオプションをひとつとることができる。
・敵味方戦力比・舞台と敵味方部隊初期配置
味方 16部隊 敵 75部隊 ・前線
前線・エストリッヒブルク 味方3部隊、敵10部隊 前線・ヴェストリッヒブルク 味方3部隊、敵10部隊 ヴァンネンタール入り口 敵5部隊(敵本隊) 敵各補給基地(占領した城、砦) 敵50部隊 味方本拠地 味方10部隊
・砦ロール
シーン終了時に「シーンプレイヤーの振る1D10+砦を守る味方部隊数」と「GMの振る1D10+砦を攻める敵部隊数」を比べ、その値の小さいほうの陣営を1部隊減らす。同値の場合はどちらも減らない。
この判定は、エストリッヒブルクとヴェストリッヒブルクそれぞれにおいて行う。
なお、この判定を”砦ロール”と命名。
どちらかの前線の味方部隊が全滅すれば砦を突破されたとして、味方本拠地であるシャーヘンシュロスまで敵がくる。
・オプション1:味方部隊の再編成、補給
<交渉>か<手当て>に成功すれば砦ロールにて減った部隊を再編成する事が可能。ただし、部隊の補給をしない限り、3部隊より多くはならない。
なお、砦の最大収容部隊数は5部隊である。
シャーヘンシュロスから部隊を前線に送る事も可能。その際の判定は不要だが、それが出来るのはシーンプレイヤーが登場する前線に限られる。
・オプション2:敵部隊への攻撃
前線にて攻撃技能に成功すれば敵1部隊減らせる。ただし、判定の成否に関わらず、PCはHPに1D10の実ダメージを受ける。
・敵部隊の補給
前線の敵部隊が減れば、次のシーンに減った分の部隊が敵補給基地から補給路を経由して補給される。
補給部隊は補給基地から補給路へ移動するのに1シーンかかり、さらに前線へ移動するのに1シーンかかる。
部隊の移動は、シーンプレイヤーが行動宣言をする前に行う。
・オプション3:破壊工作
前線にて食糧に火をつける、流言蜚語をとばす等の破壊工作を行う事が可能。<隠密>の判定に成功すれば、そのシーンにおいてその舞台の敵陣営の砦ロールは行わない。
・奇跡の使用による特殊な効果註:その結果、部隊数が最大部隊数を超えた場合、そのシーンの終わりに超えた分の部隊数をシャーヘンシュロスへ移動させること。
∵紋章∵ 舞台に登場している敵部隊をすべて自軍に寝返らせる事が出来る(註)。 ∵大破壊∵ 敵部隊の半分(端数切捨て)を全滅させる。 ∵絶対攻撃∵ 敵部隊5個を全滅させる。 ∵死神の手∵ 敵部隊5個を全滅させる。 ∵天の火∵ 敵部隊5個を全滅させる。 ∵無敵防御∵ 上記の奇跡(∵紋章∵以外)の効果を無効化する。
・前線以外
・オプション4:敵補給路を絶つ
敵補給路に敵軍がいないシーンに<隠密>に成功すれば、その補給路を次のシーンから3シーンの間使用できなくさせる。
また、補給路に敵部隊がいても、攻撃技能に1回成功する事につき敵1部隊を減らす事が出来る。この判定をした場合、判定の成否に関わらず、PCはHPに1D10の実ダメージを受ける。
・オプション5:休養
PCは1シーンの間舞台裏にいることによって、HPを1D10回復する事ができる。ただし、この場合物忌みはできない。舞台裏で行うため、当然シーンプレイヤーもこのオプションをとることは出来ない。
また、1シーンを使い、シャーヘンシュロスで休養をとることができる。この場合HPは全回復する。これは表舞台でのオプションなのでシーンプレイヤーもとることが出来る。
・オプション6:敵本隊の居場所を探す
敵本隊情報A
舞台:シャーヘンシュロス
判定:<事情通>
内容:城の書庫で過去の戦史を見つける。それによると、過去、ヴァンネンタールの谷を通ってシャーヘンシュロスを奇襲したという記述が見つかる。
敵本隊情報B
舞台:敵補給基地
判定:<知覚>
内容:クロースナ―軍本隊はヴァンネンタールを越える道に進んだことがわかる。
判定を済ませたら、その成否に関わらず<隠密>判定をする。これに失敗すれば敵兵に発見されたとしてHPに1D10の実ダメージを受ける。
敵本隊情報C
舞台:村A〜D(ただし、クロースナー軍本隊が通過したあと)
判定:<交渉>
内容:生残った村人から数日前にクロースナー軍がこの村を占領し、シャーヘンシュロスへと向かった事が聞ける。
判定を済ませたら、その成否に関わらず<隠密>判定をする。これに失敗すれば敵兵に発見されたとしてHPに1D10の実ダメージを受ける。
敵本隊情報D
舞台:敵本隊のいる舞台
判定:なし
内容:聖痕の共振が発生。近くに殺戮者がいる。聖痕の示す方に向かうと、そこにクロースナー伯率いる敵本隊を見つける。→対決フェイズへ。
註:情報A〜Cを取得したならば、戦略マップ上のチェックボックスにチェックをつけるといいだろう。
・敵本隊の進軍速度
戦略マップ上のクロースナー軍補給基地からシャーヘンシュロスまで村Aから村Dを経由して進軍する。
1マス進むのに1シーンかかるが、村は2シーンかかる。
・イベント
・イベント1
発生条件:PC3がエストリッヒブルクかヴェストリッヒブルクに登場した最初のシーン。
内容:聖痕の共振が発生する。その後、闇の気配を発しながらクロースナー伯が現れる。
クロースナー伯「PC3か、久しいな。どうだ、かつてのように余と手をとりあわぬか。ともに天下を目指そうぞ」
PC3がその申し出を受け入れるならば、そのプレイヤーはブレイド・オブ・アルカナというゲームの趣旨を理解していないようなので、GMはよく説明をすること。
また、いったん仲間(手下)になったと見せかけて土壇場で裏切る(表返る)というオプションは却下する事。本シナリヲではそのオプションに対応できない。
PC3が申し出を拒否すれば、クロースナー伯は残念そうに、そうか、と一言つぶやいて、「ならばわが敵として死ね」といって、∵大破壊∵を使用。通常の効果に加えて、上記の効果も適用。
∵大破壊∵を受けようと無効化しようと、その後、「ふむ、聖痕者がいると何かとやりづらい。そちらの相手はシャーヘンシュロスを落としたあとでゆっくりとしてやろう」といって、∵神移∵を使用。クロースナー伯は退場する。通常通り砦ロールを行う。
∵神移∵を無効化したら、「ほう、なかなかやるではないか」といって再び∵神移∵を使用して退場。シーンチェンジ。通常通り砦ロールを行う。
ちなみに、2度目の∵神移∵を無効化しても、シーンチェンジ。通常通り砦ロールを行う。
・イベント2 敵本隊が村Aいる2シーン目のシーン。ただし、マスターシーンなのでPCは登場不可。
村ではクロースナー軍による大虐殺が行われている(悪徳)。
そんなクロースナー伯の前に幼いわが子をかばうために母親がおどりでる。
クロースナー伯「……そなたの目は純粋でよい目だ。死んだわが妻にそっくりだ。そちの目に免じて措置の命と童の命は助けよう。だが、そのような目はわが妻だけがしていればよい。よって、そちの目は余がもらいうける」
彼は母親の両目をくりぬく。すると、その目にアングルスの聖痕が浮かび上がる。
クロースナー伯「ほう、聖痕か。ちょうどよい、この聖痕も余がもらおう」
彼は彼女の両目を口にいれ、それを飲み込む。
悪徳の発生。PCに鎖を配る。シーンチェンジ。
なお、このシーンにはシーンプレイヤーがいないので、砦ロールは行わない。
○対決フェイズ
クロースナー伯:グラディウス、コロナ、アルドール
その部下1、参謀:アングルス、アクシス、オービス
その部下2、アダマストループ(10人)
クロースナー伯「ほう、わが本隊を見つけだす事が出来たか。たいした諜報力だな。よかろう、今ここでそちらの相手をしてやろう、捧げよ、聖痕! 今宵は殺戮の宴なり」
クロースナー伯から闇が解放され、闇が形となって彼に重なる。異形。それは”灼熱に燃える黄金の獅子"だ。他者とともに自らをも燃やし尽くそうとする猛き心の持ち主。それがクロースナー伯の本性。
戦闘中は、毎ターンのクリンナップフェイズに希望判定をする。この判定に失敗すると「敵軍部隊数−自軍部隊数」の値だけ尊厳値にダメージを被る。上記の値が0以下ならば希望判定の必要はない。
ただし、敵軍部隊は舞台には登場していないため、∵紋章∵を使用しても味方にはならない。
○終結フェイズ
クロースナー伯が死んでめでたしめでたし。
それとも、シャーヘンシュロスを攻略されたか。
あるいは、一人の殺戮者が死んで、新たなる殺戮者が誕生したか。
どんな結末かはPCの活躍による。
○キャラクターデータ
・殺戮者:クロースナー伯オットー
グラディウス、コロナ、アルドール
能力値
体格:25 反射:20 共感:15 知性15 希望:10
技能
<重武器>●●● <自我>●●● <格闘>●●● 〈交渉〉●●●
特技
《剣圧》《旋風撃》《修羅》《帝王学》《戦術》
装備
武器:バスタードソード、カイトシールド、アームブレイド
防具:プレートメイル、オープンヘルム
奇跡
∵死神の手∵ ∵紋章∵ ∵絶対攻撃∵
∵無敵防御∵ ∵再生∵ ∵神移∵ ∵神移∵ ∵大破壊∵
∵拡大∵ ∵模造∵ ∵不死∵
∵天真∵(イベント2の母親から)
・ゲスト:クロースナー伯の部下1、参謀
アングルス、アクシス、デクストラ
能力値
体格:9 反射:11 共感:12 知性:14 希望:12
技能
〈自我〉●● 〈魔術〉●●● 〈錬金術〉●●
特技
《魔力霧散》《加護》《雷撃》《炎の手》《炎の舌》
装備
武器:スタッフ
防具:ガードローブ
その他:煙幕瓶、輝光瓶、ボトルホルダー
・トループ:クロースナー伯の部下2、騎士*10人
アダマス
能力値
能力値:5+人数 反射:4+人数 共感:3+人数 知性:3+人数 希望:4+人数
技能
〈重武器〉●●●
特技
《封鎖》
装備
武器:バスタードソード
防具:プレートメイル
その他
クロースナー伯の《帝王学》により、すべての判定にダイスボーナス+1、クリティカル+2を得る。