銭 湯 解 析

美章園温泉 (調査:H13.09.23)


足:JR阪和線『美章園』駅下車、東北へ徒歩2分。



文化庁の登録有形文化財(第27−0089号)の指定を受けている
『大阪人』(00年11月号・通巻54号)にも特集記事があり。
営業時間:13時30〜24時30、月曜休
入場料:大人360円
住所:大阪市阿倍野区美章園2−19−15
電話:06−6713−0679

昭和モダニズムを象徴している偉大なる銭湯。
戦前は堺・大浜の『潮湯』(廃業)、生野の『源ケ橋温泉』、そしてこの『美章園温泉』が大阪三大温泉と評され、戦前の絶頂期の大阪、美章園温泉はプールにダンスホールを備え大阪人の社交場として大いに人気があり、建物上のネオン看板は飛田遊郭からもその明かりが煌々と輝いて見えたという。
それが戦後、経営難で競売にかけられてしまい、存亡の危機を迎えたこともあったが、ここに惚れ込んでいた先代の主が自身の銭湯を売却してまでお金を工面し、競落したという。今もこの素晴らしい建築が残っているのは本当にこの方のおかげであり深く敬服する。

現在は2階のダンスホールは閉鎖され、改装によってプールも無くなってしまったが、重厚感たっぷりの外観に歴史を感じさせる脱衣場、そして広々とした浴場は文句の付けようがないくらいに素晴らしい。靴脱ぎ場の外壁上部は蓮の花をイメージしたのであろうか。
入れば靴脱ぎ場の番台裏上部に有形登録文化財のプレートが貼られているその周りはコンクリートと木がマッチしており雰囲気がよい。中に入れば脱衣場はドカーンとしていて天井も高く内装も欧風的。シャンデリアの華美ではない素朴さもいい。
脱衣場から見える庭の池は枯れてはいたがちっちゃな竹林が良い雰囲気を醸し出している。
浴室は広くゆったりとしている。一般の銭湯でここまで広いのは珍しい。昔にプールがあったであろうと思われる場所にはスチームサウナに漢方薬湯、座(リラックス)風呂、寝(ドリーム)風呂、水風呂、ラドン風呂(個室式)が作られている。しかし特筆すべきは掛かり湯の「水はち」が昭和モダニズムを残していることだ。そしてどの湯もぬるいめの温度であるがそれが逆にのんびりと時を忘れて風呂を愉しむことができる。

風呂上がりのドリンクはキリンレモンにキリンオレンジ(もちろん瓶)となかなかにしぶい。しかし、キリンオレンジの王冠には『きりり』の文字が。。。(残念)
他はコカコーラに牛乳は森永、マミーもあり。
評価:★★★★★
コメント:古さ、そして新しさを兼ねた様式美は素晴らしい。
    まさしく大阪を代表する銭湯である。


リストに戻る