銭 湯 解 析

  さくら湯(京田辺市三山木共同浴場)(調査:H19.03.17)




 
 全景

足:JR学研都市線・近鉄京都線「三山木」駅下車、南西へ徒歩約12分。



 正面玄関から
<平成19年3月31日廃業>

営業時間:17時〜21時(夏期は17時30〜21時30)、
 日曜休
入場料:大人60円、小人30円
住所:京都府京田辺市三山木谷ノ上44
電話:非公開

今、このレポを読まれている方は残念ながらもうこの浴場に入ることは出来ない、というのもこの3月31日をもって廃止されたのであるからだ。私はたまたまハイされると言う噂を聞きつけ、急ぎ三山木へ急行した。

駅を降り、しばらく坂道を歩き、竹藪を抜けた先に「さくら湯」さんはあった。少しオープン前に到着したが、先を歩いていたご婦人に「気にせんと入り」と誘われるがままに入る。
入ってすぐに券売機があり、その入浴料がなんと大人60円!
市営の共同浴場とはいえ、ここまで安価な入浴料ははじめてで驚いた。銭湯界最安値である。

 
 これが証拠の入浴券

券売機に60円を入れて券を買い、靴を靴箱に入れようとふと横を見ると、

 

まだ暖簾が館内に。。。そうか、まだオープン前だった。
そしてドアを開け、脱衣場へ。入ってすぐ横に番台に入浴券を置くのだが誰も座っていない。これも地域で管理されているのでそれほど必要はないのだろう。
脱衣場は一般的な銭湯の広さと変わらず、小さな座台にソファが2脚置いてある。で、入って気づいたのだが、どうも建物自体は六角形のようで、壁が斜めに歪んでいる。入る前に正面から見た姿はそうは思わなかったのだが、お役所的雰囲気の濃い公共浴場にありながらなかなかにユニークなザインである。
早速服を脱ぎ、浴室へ向かう。ちょうど入口横に使われていない小部屋があるがどうもこれは昔はサウナ室だったのではないかと思われる。開業当初はかなりいい浴場であったに違いない。
浴室に入ると、台形の形をした浴室の真ん中に、これま台形の浴槽が一つのシンプルな構造。浴槽は浅い目と深い目に仕切られており、そこそそに広く、青タイルを基調とした落ち着いた雰囲気の中でゆったりと脚を伸ばして湯を愉しむことが出来た。湯温はちょうどいいが、仕切壁側の角から熱い湯が湧き出ており、そこだけ注意しよう。
天井は高く、湯気抜きも六角形の建物形状に合わせて形作られており、室内はそれほど違和感もなくゆったりできるのがいい。
洗い場は外壁に沿ってカランが並び、ホースシャワーも付いている。また桶と椅子は入口横に積んであるのでお借りするときは一声掛けてから。

ゆっくり湯を愉しみ、サッパリと出た私は、脱衣場内に貼られていた一枚の紙に注目した。

 

昭和52年から続いてきたこの「さくら湯」も、各家庭に内風呂が普及したことや施設の老朽化に伴い、この平成19年3月末日を持って廃止すると。。。また一つ湯の灯が消えてゆくのは本当に寂しい限りである。
でも、いままで浴場を愛用されていた地元のご老人のために、老人福祉施設の中に浴場を新たに設置して、細々と存続を図っていくようだ。このように裸のつきあいの重要性を今も行政が認識していることは嬉しいことではある。

ちなみにドリンクは置いていなかった。ここは半公設の施設なので仕方ない。

また、ここは一般の銭湯とは違って住民のために地域で運営している共同浴場であるので、外来である我々はあまり迷惑をかけぬようマナーの徹底に心がけて湯を愉しんで欲しい。
評価:★★★★
コメント:設備はいくぶん古いが、ゆったりできた。
     60円とはまさしく銭湯界最安値!
     廃止されたのが本当に惜しい。


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