バタリアン リターンズ
THE RETURN OF THE LIVING DEAD PART III
米 1993年 97分
監督 ブライアン・ユズナ
脚本 ジョン・ペニー
出演 J・トレバー・エドモンド
ミンディ・クラーク
ケント・マッコード
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の続編である『バタリアン』は、正編と競うことなくパロディへと逃げた賢明な作品であった。続く『バタリアン2』は、前作のプロットをただなぞるだけの凡作で、本来ならばシリーズはここで途絶える筈である。ところが、パート3の企画は奇想の作家、ブライアン・ユズナに持ち込まれた。彼はあろうことか、シリーズを原点に戻してシリアス路線に修正し、恋愛ものに仕立てたのだ。「ゾンビ版ロミオとジュリエット」とでも呼ぶべき物語は、感動的でもあり、馬鹿馬鹿しくもある。
軍は屍体を蘇らせる薬品「トライオキシン」を研究開発していた。その責任者の一人息子=ボンクラ太郎が事故って、同乗していた恋人が即死。死なせてなるものかとボンクラ太郎は基地に潜入、「トライオキシン」で蘇生させるも、今やバタリアンを化した彼女は人肉が欲しくてたまらない。ボンクラ太郎だけは愛しちゃってるので喰わないが、他にいろいろ喰べたのでバタリアンは蔓延し、ボンクラ太郎の父親は息子のボンクラぶりを嘆くのであった。
主人公のボンクラ太郎が本当にボンクラで、まったく同情に価しない。この映画で巻き起こる惨事はすべて彼が原因なのである。バタリアン女が捕縛されて一件落着に思えたが、「禁断の愛」に酔うボンクラ太郎は、彼女を取り戻すためにひと暴れ。基地まるごとバタリアンに汚染させ、自らも噛まれてバタリアン化。
「これでいいんだよ」。
と、バタリアン女とふたりで焼却炉で心中。
いいことあるかい。
たしかに、一見感動的な話ではあるけれど、ボンクラ太郎のボンクラぶりが鼻につくと、まったく感動できない大駄作に早変わり。いい意味でも悪い意味でも「怪作」には違いない。
↑居直りバタリアンのボンデージはなかなかの見もの。
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