花嫁吸血魔 新東宝 1960年 80分 |
或る映画のヒロインに抜擢された主人公、嫉妬にかられた女優仲間に崖から突き落とされ、顔面に見るも無惨な傷を負う。女優としての再起は不能で、失意のうちに実家に帰るが、そこでも母が借金苦で自殺していた。度重なる不幸に落胆した彼女も自害。しかし、陰陽師のババアの余計なお世話で、彼女は「花嫁吸血魔」として蘇り、崖から落とした連中の新婚初夜を襲うのであった.....。 という、とりわけて取り柄のないC級ゲテモノ映画であるが、この映画がカルト化しているのにはわけがある。「花嫁吸血魔」を演じるのが池内淳子だからである。 三越の評判美人店員から新東宝に入社、女優へと転身した池内淳子は、お嬢様役の清純派として堅実に成長していった。ところが、女優としてこれからという時に、社長である大蔵貢の忠告を無視して結婚引退。そして、大方の予想通りにすぐに離婚。社長を拝み倒して、復帰第1作としてもらった役がこれだったのである。 ところで、本作には『狼男アメリカン』もびっくりな「ワンカット変身」のシーンがある。苦しみもがく池内の顔がみるみるとドス黒く変色していくのだ。これは思うに、黒インキのスプレーを顔に吹き掛けているのだろう。文字通りの汚れ役だ。このシーンの池内は、物凄く嫌そうな顔をしている。 |