血を吸う眼 東宝 1971年 82分 |
和製ホラーというものはどうしてもドメスティックになりがちであるが、奇跡的に無国籍でクールなショッカーに仕上がった例も存在していて、それがこの『血を吸う眼』である。吸血鬼という極めて西洋的で乾いた素材を、日本という湿った土地に見事に着地させた作り手の手腕はただものではない。 画家志望の秋子は少女時代に見た夢に悩まされていた。それは美しい夕焼けを背景に洋館に迷い込んだ彼女が、花嫁の生き血を吸う青年に出会うというものだった。その青年の眼があまりにも恐ろしくて、トラウマになっていたのだ。或る日、彼女が暮らす湖畔の別荘に棺が届けられる。そして、彼女の見た夢が、実は夢ではなかったことが次第に明らかとなる.....。 本作の成功は、巧みな脚本や、英ハマーの名匠、テレンス・フィッシャーに手本を求めた山本迪夫監督の演出はもちろんだが、なんといっても、吸血鬼に扮した岸田森によるところが大きい。 |
そんな「日本で唯一のドラキュラ俳優」岸田森のプロフィールについて、簡単に触れておこう。 |