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ロボット・モンスター
ROBOT MONSTER

米 1953年 白黒
製作 アル・ジンバリスト
監督 フィル・タッカー
音楽 エルマー・バーンスタイン
出演 ジョージ・ナダー
   クラウディア・バレット
   セレナ・ロイヤル


 借りてきたゴリラの着ぐるみに潜水帽を被せただけのチープなモンスターであまりにも有名なZ級SF怪作。

 その酷さを書き連ねたらキリがないが、特に呆れるのが登場人物たちの緊張感のなさである。
 着ぐるみモンスターの目的は地球征服。怪獣を暴れさせて(借りてきた映像だけで済ませてしまうのだから驚きだ)、洞窟に隠れていたジョニー君一家を除いて、すべての人類を死滅させた。ところが、目的達成間近というこの期に及んで、モンスターはジョニー君の美しき姉アリスに一目惚れ。なんと和平交渉を求めて来るのだ。和平交渉もなにも、人類滅亡寸前なのだが...。
 かたやアリスはというと、非常事態にも拘わらず、父の助手ロイとセックスしており、
「デキちゃったので結婚しまあす」。
 などと結婚式を挙げたりする。モンスターの激怒は必至だが、脳天気なカップルはそんなことなど省みず、なんと新婚旅行に出かけたりするのである。


 緊張感がないにもほどがある。あまりのことに呆れていると、ラストで唐突な夢オチ。作り手の誠意のなさ、やる気のなさがビシビシと伝わってくる。仲間で集まってゲラゲラ笑いながら観るならいいが、一人で観るとかなりのダメージを受ける作品であることは確かだ。(私がそうだった)

 製作のアル・ジンバリストは、他にも『月のキャットウーマン』や、巨大なスズメバチのハリボテが涙を誘う『モンスター・フロム・グリーン・ヘル』等、最低SFをいくつも世に放っている。ナメとんのか?
 ところが、音楽はなんとエルマー・バーンスタイン。現代アメリカ音楽の巨匠も当時は金のために仕事を選ばなかったってことか?。本当にどうしようもない映画だが、音楽だけには風格がある。


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