クレジットでは一応「アメリカ映画」ということになっているが、スタッフを見る限り、ほとんどイタリア映画である。特撮は『惑星からの侵略』のアンソニー・ド−ソンだし、キャストの節操のなさから云っても、バッタもんのマカロニSFであることは間違いない。製作会議がどのようなものであったかが眼に浮かぶ。
「『スターウォーズ』は大当りでしたなあ」
「やはりアメリカ映画は元気があるなあ」
「いやいや、欧州勢も007が頑張ってまっせ」
「あー、見た見た。『ムーンレイカー』っちゅうヤツやろ?。せやけど、アレ、『スターウォーズ』のパクリとちゃうか?」
「いや、宇宙でおめこしただけですって」
「光線銃撃ってたがな」
「どうせパクるなら、本格的なSFにしたいですなあ」
「わしゃあのジョーズっちゅうヤツが好きでなあ。おもろいやん。死なへんし」
「じゃ、ジョーズを主役にSF作りましょか?」
「なんやったら、ボンドガールも出そか?」
「『ムーンレイカー』はコリンヌ・クレリーです。O嬢の」
「なんやて?」
「だから、O嬢の」
「ああ、あのドスケベな映画かあ。でも、わしゃあ、その前の女の方がええなあ」
「前?」
「なんか、ロシアからスパイが来んねん」
「ああ、『私を愛したスパイ』。バーバラ・バックですね」
「あれにもジョーズ出てたよな?。ジョーズはええなあ。おもろいやん。死なへんし」
「じゃ、ジョーズが死なない映画にしましょう」
「ダースベイダーみたいなんも出してや。それから、なんかちっこいロボットも」
「東洋思想みたいなんも入れましょか?」
「それやったら、チベットかなんかのガキをウロウロさせてたらええ。特撮はドーソンに頼みや」
「ドーソンはちょっと古いんとちゃいますか?」
「ええ。あいつ、安いねん」
まあ、だいたいこんな感じで、出来た映画がこれである。
|