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透明人間/犯せ!

にっかつ 1978年 65分
監督 林功
出演 マリア茉莉
   志麻いずみ
   宮井えりな


 家族でテレビを見ていて「引いてしまう瞬間」というものがある。
 例えば、『ウィークエンダー』の泉ピン子を楽しく見ていたら、突然、彼女が、
「この男の取り柄はチンチン(笑)。真珠をなんと3個も埋めてるんですよ!」
 と、がなりたてた時、ブラウン管の前の家族は引いてしまった。
『8時だよ!全員集合』でのカトちゃんのギャグ、
「ウルトラマンの子供、子供、子供。ウルトラマンの子供、ウルトラマン子」
 にもかなり引いた。
 しかし、極め付けはこれだ。

 年末も押し迫った頃、土曜日の午後に恒例の「年末年始映画予告編大会」が日本テレビで放映された。各映画会社の宣伝マンが自社配給の映画を制限時間1分で紹介するコーナーがあったのだが、『キングコング』や『カサンドラ・クロス』にまぎれて、なんと『透明人間/犯せ!』も紹介されたのだ。他社の宣伝マンは真面目にセールス・ポイントを口頭で述べるのに対して、にっかつの宣伝マンは、焼けクソになっていたのか、自らが包帯男に扮してバイトの女の子にセクハラするのみ。1分間、キャーキャーと悲鳴をあげるバイト嬢(ブス)のカラダを触りまくる包帯男の映像が全国に流れた。これには完璧に引いた。番組の司会者も引いていた。全国の何百万人という視聴者が引いていたことだろう。当時は、
「こんなエッチなことを白昼堂々とやるなよッ」
 と腹立たしかったが、今となっては、
「よくぞやってくれた」
 と感謝している。なにせマジソンズだからね、あたしゃ。
 ありがとう。にっかつの宣伝マン。

 というわけで、少年期の私に多大なるトラウマを与えた本作だが、実際に観たのは結構最近のこと。7、8年ぐらい前のことである。
 バカな映画だとは思っていたが、これほどバカだとは思わなかった。
 コンドームをしたチンポコだけがフラフラと宙を舞うのだよ。透明人間の表現の仕方はいろいろあるが(例えば、半透明だとか、サングラスをしているとか)、コンドームだけをしてるっていう表現は、この映画だけだろう。
 このコンドームが膣に入ると、
「スポッ」
 っていうSEが入る。バカバカしくて情けなくなる。情けなくなるが、それでOKだ。この脱力感こそ、この映画のすべてである。

 本作がピンクレディの「透明人間」から着想を得たことは明らかだ。冒頭でピンカラレディだかなんだかのブスなデュオ歌手を透明人間が犯すシーンの脱力感はただごとではない。ただごとではないのだが、それでOKだ。観ていて恥ずかしくなるほどの脱力感。生きているのが恥ずかしくなるほどの脱力感。それを味わせてくれる映画というのは、そうはない。その意味で、本作は歴史的な大傑作である。

 なお、本作の主演女優は巨乳マリア茉莉、スレンダー熟女志麻いずみ、悪女宮井えりなという私的にはベストな布陣である。
 特に、マリア茉莉が透明人間にバックから犯されるシーン(もちろん、彼女の一人芝居)には、かなりそそられるものがある。実用的価値大。


 

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