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恐怖の足跡
CARNIVAL OF SOULS

米 1961年 72分 白黒
監督 ハーク・ハーヴェイ
脚本 ジョン・クリフォード
出演 キャンディス・ヒリゴス
   シドニー・バーガー
   ハーク・ハーヴェイ


 海外ではカルトとして絶大なる支持を得ていても我が国ではほとんど知られていない作品というのが結構あって、本作がその代表格である。本作の紹介記事を児玉数夫氏の著書で読んだ私は、我が国でビデオ化されることを期待したが、遂にならず。菊池秀行氏が輸入した旨をその著書で知り、ああ、やはり輸入しなければならないのかと思っていたら、輸入ビデオ屋で見つけて狂喜した。今やDVDまで出ているが、相変わらず日本では未発売である。

 たしかに、本作は地味な小品だ。
 若者を乗せた2台の自動車が川に落ち、主人公の女性だけが生き残る。彼女は事故のことを忘れるために遠隔地に移り住み、教会のオルガン奏者の職を得るが、途中で朽ち果てたパビリオンを目撃してからというもの、無気味な男の幻影に悩まされる。まるで亡霊のようなその男は、次第に仲間を増やし、彼女が暮らす世界に侵蝕し始める。彼女は原因を朽ち果てたパビリオンに求めた。深夜、そこに訪れた彼女を待っていたのは「カーニバル・オブ・ソウル=霊魂の祭典」であった.....。


 これといった見せ場もなく、演出も凡庸。物語は淡々と進むが、不思議と飽きることなく、時としてゾッとさせられる。音楽がパイプオルガンのみというのも二重丸。とにかく、雰囲気だけで怖がらせてくれる第一級の怪奇映画である。

 監督のハーク・ハーヴェイに才能があるのか否かは正直云って判らない。この人は産業映画の出身だし、劇映画はこれ1本しか撮っていない。(製作会社が酷いところで、報酬として受け取った手形は不渡りとなり、彼には一文も入らなかったという)。だから、判断材料がないのであるが、雰囲気だけでこれほど怖がらせてくれる監督である。才能がある人だと思いたい。

 なお、本作は98年にウェス・クレイヴンによりリメイクされているが(邦題『SOULS/死魂』)、まったくどうしようもないシロモノであることを付記しておく。


 

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