フェイズ IV 米 1973年 84分 |
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ソウル・バスと云えば有名な商業デザイナーであるが、我々にはむしろヒッチコック作品のタイトル・デザイナーとして知られている。マイク水野が「シベ超」でパクった『北北西に進路を取れ』がそうだし『サイコ』もそうだ。 |
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バスとしては「あのシーンをデザインしたのは俺なのだから、実質的な監督は俺なのだ」と云いたいのだろう。しかし、待てよ。そのようにデザインするよう指示したのは、ヒッチコックなのである。 というわけで、「シャワー・シーンの監督者」としての栄誉を敢えなく逃してしまったソウル・バスの「唯一の監督作」が本作である。この映画を見れば、彼だけではあのシャワー・シーンを作れなかったことがよく判る。デザイナーである彼は「固定した絵作り」には強いが(例えば、上写真や左写真を参照)、カメラ移動やカット割りによる映画作法には長けていない。そのために、本作も「素人の習作」的な匂いがする。次回作が期待されたが、それは実現することはなかった。劇映画が撮れないままに、96年に他界している。 |
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さて、話はようやく本題に移る。 宇宙からの放射能だか何だか知らんが、とにかく、その影響で蟻が知能を持ってしまった。種族間の闘争を「話し合い」で解決して、己れらの天敵(蜘蛛とか)を共闘で排除。挙げ句は、人類に代わって地球を支配しようと画策する。 以上のあらすじからも判る通りに、「話し合い」が重要なテーマとなっている作品である。 そんな本作の見どころは、なんと云ってもケン・ミドルハムによる蟻の接写撮影である。ちゃんと蟻に演技をつけており、ニクいほどだ。撮影に時間がかかったろうなあと感心驚愕するシーンが続出。本作の監督はひょっとしたら、 |