顔のない悪魔 英 1958年 74分 白黒 |
50年代侵略SF映画をフィーチャーした『インベージョン・アース』で紹介されて、世界中の映画マニアの度胆を抜いた作品。とにかく、ツノのはえた脳髄に脊髄だけというクリーチャー・デザインが斬新で、それだけで100点満点だが、実際に作品を見てみると、物語は赤点であった。 各地で姿の見えない怪物に人々が殺される事件が頻発。調査を進める軍人は、その原因が或る博士の奇妙な研究に基づくことを突きとめる。その研究とは人の意識を実体化させる、という訳の判らないものであった。そして、実体化された意識が人を襲い始めたのだ。何故に襲い始めたのかよく判らないが(註1)、とにかく、襲い始めたのだから大変だ。最後には脳髄に脊髄というベタな姿を現し、軍団となって博士たちに攻撃を開始したのであった.....。 物語の大半は、退屈で、退屈で、ああ〜あ、ならねえ.....という落語「あくび指南」の様相を呈している。ようやく動き始めるのはラスト10分である。脊髄を尺取り虫のようにウニウニと動かし前進する脳髄の人形アニメーションは「素晴らしい」の一語に尽きる。グロテスクの極みであり、このデザインを考えた人は天才である(キチガイとも云える)。これをピストルで撃つと、ブチブチブチを血どろを噴出させて死ぬ。斧でブチュリと潰すシーンもある。 註1 どうやら空軍基地が出す音波が原因らしい。 註2 私が「素晴らしい」と云う場合、世間一般ではあまり素晴らしくないことが多いので要注意。 |