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アリゲーター
ALLIGATOR

米 1980年 91分
監督 ルイス・ティーグ
脚本 ジョン・セイルズ
出演 ロバート・フォスター
   ロビン・ライカー
   ディーン・ジャガー
   ヘンリー・シルヴァ
   スー・リオン


 昔、諸星大二郎の漫画に「どうもアリゲーター」というオチのやつがあったが、そんなことはどうでもよろしい。本作は云うまでもなく『ジョーズ』に肖ったバッタもんである。しかし、これが意外な拾いもの。物語は「下水道のワニ」の都市伝説をベースに、モンスター映画の常套アイテム「成長促進剤」を加味したたわいないものだが、人物描写がしっかりしているので、結構面白く見られる。

 例えば、主人公の刑事。頭髪が薄くなり始めていて、それを始終気にしている、という情けないヒーロー像が、物語に奇妙な深みを与えている。
 そんないまだかつてないヒーローを演じるのは『ジャッキー・ブラウン』でブレイクしたロバート・フォスター。彼はタランティーノから出演の依頼を受けた時、
「俺はB級映画にしか出ていないよ」
 と自嘲的に云ったところ、タランティーノは、
「あなたはB級映画の中でA級でした」
 と応えたという。
 イイ話じゃないか。
 実際、私もそう思う。フォスターは「B級映画のA級俳優」だ。ハゲを気にするヒーローなんて、なかなか演れるものではない。

 それから怪優ヘンリー・シルヴァがイカれた猛獣ハンターに扮しているのも見どころの一つである。彼がワニのウンコを見つけて「これはでかい」と感動する場面には、思わず吹き出してしまった。

 で、肝心のワニの方であるが、アスファルトを突き破って登場したりと派手ではあるが、これがまったく怖くない。なにせワニだからね。のったりと歩くので走れば逃げられるのだ。だから、喰われてる奴らがノロマのトンチキにしか見えない。それがこの映画の致命傷であろう。

註 当映画館の御常連なればお気づきであろうが、私は怪獣にはまったく興味がない。拾ってくる写真も人間の変な部分ばかりである。だから、私にはモンスター映画について筆を取る資格はないのだと思う。


 

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