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SM大陸/マンダラ
SHOCKING ASIA

西独 1975年 91分
監督 エマーソン・フォックス(ロルフ・オルセン)


『超常現象の世界』に引き続いてロルフ・オルセン監督の問題作をもう1本。(監督としてクレジットされているエマーソン・フォックスはオルセンの変名である)。

 アジアの奇習を撮らえた「モンド映画」の変化球であるこの映画、冒頭の
「アジアは、我々にとっては神秘的で魅力溢れる場所であるが、そこに住む25億人の人々にとっては地獄である」
 というアナウンスにまず驚かされる。私も、あなたも、日本人全員が、この「地獄に住む25億人」の中に含まれているのである。
「それほど地獄でもないけどなあ」
 とも思うが、ドイツ人であるオルセンの眼には、それは地獄と映ったらしい。
 本作の目玉は「マレーシアの性転換手術」とか「インドの火葬」とかいろいろあるが、ここでは、この映画で描かれる我が祖国の「地獄絵図」に的を絞って御紹介しよう。

 まず、浅草あたりのスタミナ料理屋。ここでは、東大通のように日の丸のハチマキをしたおっちゃんが、牛のチンポコと睾丸を調理している。オルセンによれば、これは「日本のごく普通の料理」なのだそうだ。
 その後に「上野の蛇屋」との看板を出す蛇料理屋が紹介される。これも日本の平均的な料理屋だそうで、
「ドイツではソーセージ、イタリアではピザ、アメリカではフライドチキン、そして日本ではヘビである」
 と嘘八百だ。


 続いて、どっかの田舎の「チンポコ祭り」。張形を持った巫女さんが通りを練り歩き、この張形をなでなですると子宝に恵まれるという奇祭だ(上写真)。ハイライトは全長5メートルはあろうかという巨大な「チンポコ御輿」で、これにはさすがの私も呆れたが、「ユーモアのかけらもない」と腐すオルセンの視点はなんとかならんか。「陽神信仰」は世界各地にあるのであり、なにも日本に限ったことじゃない。ひとんちの祭りを腐す権利は、お前にはない。

 しかし、目黒エンペラーは腐されても仕方がないだろう。あそこの内装は、日本人の眼からしてもかなり異常だ。

 それから、刺青を彫られて苦悶する女が紹介される。
「日本では有名女優でも、このような刺青を入れているのだ」
 と説明されるこの「有名女優」は、何故かカルーセル麻紀にそっくりである(左写真)。


 ところで、日本の「女子プロレス」は、西洋人から見ればかなり異質であることは、この映画を見るまでは気づかなかった。たしかに、あちらにも泥レスみたいのはあるが、あくまでお色気目的のショーであり、ダンプ松本みたいなのは出てこないからなあ。
 もっとも、オルセン監督は前座の「小人プロレス」の方がお気に入りだったようである。メインイベントよりも長くフィーチャーされている。

 そして、映画の最後を飾るのが、なんと「元祖国際秘宝館」だ(左写真)。
「こんなので終わっていいのか?」
 とも思ったが、西洋人にはこの場所が大ショックだったようだ。そりゃそうだろう。日本人でもくだらなすぎて大ショックですもの。

 こんなくだらないものがあるアジアは、まんざら捨てたもんじゃないぞ、このナチ野郎。


 

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