映画自体は最低というわけではない。1930年代にフランスで実際にあった保険金殺人事件をモチーフにした実録犯罪ものの佳作である。
では、何が最低かというと、その凄惨な殺人描写だ。特に中盤の肥えた女性の殺害シーン。血みどろの屍体を浴室に運び、衣服を剥いで浴槽に入れる。そして、その上から硫酸をかける。猟奇殺人に興奮したロミー・シュナイダーは、ミシェル・ピコリの前にひざまずきフェラチオをする。翌日、硫酸でドロドロに溶けた肉汁をバケツにすくい、庭に捨てるシュナイダー姉妹とピコリの三人組。ここでこの映画の悪趣味が全開する。肉汁の廃棄作業の途中に空腹を覚えたシュナイダー妹が、なんとミートソースのスパゲティをさも旨そうに食べるのである。グロテスクに慣れている筈の私も、このシーンにはさすがにゲロゲロであった。
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