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吐きだめの悪魔
STREET TRASH

米 1986年 102分
製作 ロイ・フラムケス
監督 ジム・ミューロー
出演 ビル・チェビル
   マイク・ラッケイ
   ビック・ノート
   ジェーン・アラカワ
   マーク・スフェラッツァ
   トニー・ダロウ
   ジェームズ・ロリンズ


『吐きだめの悪魔』とはなかなかの名邦題である。「掃きだめ」では足りずに「吐きだめ」なのだから。それだけバッチい映画だということだ。

 物語を説明するのは困難だ。スラムに暮らす浮浪者やヤクザ、悪徳警官、チンピラどもの複合的な物語だからだ。黒澤明の『どですかでん』エログロ版だと思えばよろしい。
 この複雑な物語を束ねるのが、60年も熟成されたウイスキーである。酒屋の店主が地下室から60年前の酒瓶を見つけて、これを安価で売り出したのだが、あまりにも熟成され過ぎて劇薬になっていた。これを飲んだ者はドロドロと溶けて、バッチイ汚物と成り果てる。
 或る者はウンコをしながらドロドロ溶けて、己れがウンコとなって流される(写真上)。
 或る者は壁にぶつかり、ブチュリと潰れる。
 腹が巨大に膨れ上がり、破裂する者もいる。

 人が溶けたり弾けたりする他にも、引きちぎられたペニスが宙を飛んだり、ドヤに迷い込んだ売春婦を数十人の浮浪者が回して殺してしまったりと印象的なシーンは多い。
 私が特に気に入っているのは、スラムの親分が首を切断されるシーン。直後に女が彼の首を飛び越えるのだが、彼はまだ生きていて、そのパンチラを目撃して絶命するのだ(写真下)。一人の人間の崇高な死がパンチラで台無しにされるそのカメラ・アングルには感動させられた。

 監督のジム・ミューローは、当時21歳の新鋭。しかし、監督作はこれ1本で、堅実にカメラマンとしての道を選んだ。『タイタニック』や『ターミネーター2』『JFK』といった一流の作品で主にステディカムを担当している。
 そうなのだ。このバッチい映画は『タイタニック』と同じ人が撮ったのである。


 

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