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ソサエティー
SOCIETY

米 1989年 99分
監督 ブライアン・ユズナ
脚本 ウディ・キース
   リック・フライ
特撮 スクリーミング・マッド・ジョージ
出演 ビリー・ウォーロック
   デヴィン・デヴァスケス
   エヴァイン・メリチャーズ


 本作はブライアン・ユズナの初監督作品である。しかし、実際のところは、スクリーミング・マッド・ジョージの作品と云うべきであろう。とにかく、彼のイマジネーションが作り上げた「ドロドログチャグチャの社交界」、これがこの映画のすべてであり、それ以外は なくてもよい。

 上流階級に生まれ育ったビルは、何不自由ない生活を暮らしているが、家庭での疎外感に悩んでいた。両親や妹が他人に見え、時には化け物にさえ見える。
 そんな時、妹のストーカーをしていた男から盗聴テープを聞かされる。録音されていたのは両親と妹の信じられない会話だった。
「お前も明日は社交界にデビューだな」
「明日はまず、同年代の男性から手始めにオマンコするのよ」
「うわあ、楽しみッ」
 なんじゃこりゃあッ。
 ビルはあちこちに相談して回るが、誰からも信じてもらえない。やがてストーカー男も殺されて、魔の手はビルにも忍び寄る。

 要するに「金持ちは貧乏人を喰いものにする」という言葉をそのまま映像化したような作品なのである。上流階級の人々は、実はドロドログチャグチャと溶けて自在に形を変えられる化け物で、「社交界」とは彼らがドロドロに溶け合ってオマンコしながら、生け贄の人間をデロデロと食べる場所だったのだ。
 ビルは、疎外感を感じるのも道理で、彼らに飼育されていた生け贄に過ぎなかったのだ.....。


 さあ、ここまで来たら、後はスクリーミング・マッド・ジョージの仕事を楽しむのみである。日本人である彼のイマジネーションのルーツは、おそらく諸星大二郎の『生物都市』であろう。十数名がドロドロ溶けて融合して、乱交に興じる様はまさにあれだ。
 それから、チューすると口がトンガらがって30センチも伸びる。これなんかは赤塚不二夫のあれだ。 「肛門に顔」の化け物(右写真)なんて、まさに赤塚マンガのまんまじゃないか。
 さすが高信太郎の弟子だったマッド・ジョージ氏である。マンガを実写化する腕前は一流だ。

 本作はマッド・ジョージ氏のベスト・ワークではないだろうか。氏も本作をお気に入りに挙げている。しかし、映画自体は駄作だったのが、なんともはや残念である。


関連人物

ブライアン・ユズナ(BRIAN YUZNA)


 

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