70年代は悪趣味映画の宝庫でした。まだ小学生だった私はこうした悪趣味映画をマメに追いかけたものです。
この『吸血の群れ』も、そのポスターのグロテスクが故に、私たちの間で大いに話題になりました。そして、上野の二番館まで観に行って、大いにズッコケました。爬虫類たちは血を吸わないし、カエルが人を食べるシーンなどもなかったからです。ただヒルやらトカゲやらヘビやらカメやらが唐突に現れて、それを見てショック死したオバサンたちの体に這い回るだけ。
「俳優さんって大変だなあ」
という印象しか残っていません。映画の筋はまったく忘れていました。
数年前、深夜放送で再会した時には感慨もひとしおでした。やっぱりつまらないのです。ただ、レイ・ミランドなどという名優が出ていたり、エコロジーというテーマが一応はあったり、音楽はエキゾチック音楽の巨匠、レス・バクスターであったりと、いろいろと再発見がありました。
でも、やっぱりつまらないのです。
ちなみに、劇場では、映画の最後にカエルのアニメーションが出て来て、人の手を飲み込んで去って行きました。これがポスターに描かれた「人喰いガエル」の真相だったのです。
ところが、数年前に深夜放送で観た時には、このアニメーションはありませんでした。私が上野の二番館で観たあのアニメーションは幻だったのでしょうか?。
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