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初めて《スキャナーズ》を観た時は感心させられた。というのも、超能力者が「気の毒な人」として描かれていたからだ。なるほど。たしかに、望みもしないのに他人の考えていることがアタマの中に入ってくるのは迷惑なことだ。 役所広司と風吹ジュンは、ごく普通の夫婦である。しかし、たった一つだけ普通ではなかった。妻には霊が見えてしまうのである。今日もパート先のファミレスで、大杉漣につきまとう女の霊を見てしまった(左写真上)。見たくもないものを見てしまった彼女は、居た堪れなくなりパートを辞める。 本作で注目すべきなのは、霊能者の苦悩を描き切ったプロットだけでなく、その心霊描写である。白昼堂々と、何の前触れもなく唐突に出現する「それ」には、誰もがヒヤッとさせられることだろう。特に、夫がなにげに妻を見ると、その肩に死んだ少女の腕がある.....という心霊写真定番のショット(左写真下)は絶品である。 なお、本作は79年になってようやく我が国で公開された《雨の午後の降霊祭》(64年)のリメイクであるが、オリジナルの方は、インチキ霊媒師が有名になるために自ら誘拐するというスリラー映画であった、 |