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ス★パ★イ
S.P.Y.S.

英 1974年 104分
製作 アーウィン・ウィンクラー
   ロバート・チャートフ
監督 アーヴィン・カーシュナー
出演 エリオット・グールド
   ドナルド・サザーランド
   ジョン・グリフィス
   ヴラデク・シェイバル
   ジョス・アックランド
   ケネス・グリフィス


 主演二人とタイトルの表記から、あからさまに『M★A★S★H』の二番煎じと判る作品。登場人物のハチャメチャなキャラ設定、大はしゃぎで暴走だらけの物語展開なども丸パクリである。
 しかし、『M★A★S★H』の場合は、戦争を笑い飛ばし、その狂気を浮き彫りにするという意義(悪く云えば大義名分)があった。然るに本作は、単なるドタバタ・コメディにしかなっていない。ここら辺がかなり痛い。主演二人の掛け合いが快調なだけに、その痛さが残念な作品である。

 CIAのエージェント、エリオット・グールドとドナルド・サザーランドは、その余りのドジぶりにミッションに失敗(というよりも、勝手に放棄)、KGBは疎かCIAからも命を狙われるハメになる。高飛びするには先立つ路銀が必要とばかりに、同盟国イギリスの機密を盗み出し、競りにかけようとするのだが.....。
 とにかく、ドジでガサツで女好きで、ヤル気のまるでない漫才コンビが、それでもどうにか機密を手に入れて、米英露中4ケ国を巻き込んで暴れ回る。しかし、ギャグの数々は皆どこかで見たようなものばかり。
 例えば、高級レストランで食事して、支払いの段になって「払えない」。仕方がないので大暴れして、ドサクサに紛れてトンズラする.....なんてのは、マルクス兄弟の昔からのお約束のギャグである。
 勘違いでしたことが偶然にうまく運んだり、敵が勝手に転んで死んだり.....といった「神がドジに味方する」パターンも、既にブレイク・エドワーズが『暗闇でドッキリ』や『クルーゾー警部』で確立したものだ。
 そして、まんまと大金をせしめるも車ごとドカーンと爆発、結局、一文にもならない.....というラストは『
黄金の七人』シリーズのそれである。
 要するに《M★A★S★H》を始めとする様々なコメディのパッチワークにしか過ぎないのだ。

 こんな志の低い作品の監督はアーヴィン・カーシュナー。その監督作は『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『ネバーセイ・ネバーアゲイン』『ロボコップ2』と、二番煎じだらけなのがなんともはや。ルーカスが後を任せたぐらいだから腕は確かなのだろうが、作品に恵まれていない不幸な監督である。


 

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