ジョン・ベルーシを失ってからのダン・エイクロイドの軌跡は、新たな相棒探しの長い道のりだったように思える。
『大逆転』 →エディ・マーフィー
『ゴーストバスターズ』 →ビル・マーレー
『スパイ・ライク・アス』 →チェビー・チェイス
『大混乱』 →ジョン・キャンディ
『キャノンズ』 →ジーン・ハックマン
しかし、いずれもピンとこなかった。挙句の果てに『サタデーナイト・ライブ』時代のもう一つの当たりネタ『コーンヘッズ』を映画化して大失敗した。そして、ふりだしに戻る。『ブルース・ブラザース2000』である。結局、ベルーシの穴を埋めることはできなかったのだ。
そんなエイクロイドの迷走を予言したかのような混乱ぶりを見せるのが、ベルーシ亡き後に初めて撮られた本作である。
堅物の大学教授がひょんなことから4人の高級娼婦を守るハメになり、架空の怪人「ドクター・デトロイト」に化けて、悪のポン引きを退治する、という物語である。第1期サタデーナイト・ライブの中でも最も芸達者なエイクロイドの独壇場であるが、キャラクター的に彼は地味すぎる。天性のはっちゃけ男、ジョン・ベルースがいたからこそ彼の技巧が際立ったのであり、やはり当て馬が必要なのだよ、彼には。
テーマの一貫性も見られない。ジェームズ・ブラウンをゲストに呼び、『クレオパトラ・ジョーンズ』のパロディ(敵方の大将がマムというアダ名のデブおばちゃん)を盛り込む等、『ブルース・ブラザース』の黒人映画路線を踏襲しているが、タイトル曲が何故かディーボで(これはおそらくディーボがデトロイト出身だからだろう)、このあたりのアンバランスが客のハートを掴めていない。どうせなら、どっちか(ブラックかテクノか)に路線統一した方がよかったと思う。
はっきり云って、ディーボが監督した『ドクター・デトロイト』のプロモーション・ビデオの方が面白い。映画の方もすべてディーボに監督させた方が、はっちゃけて面白かったと思う。当たらないけど、カルトにはなった筈である。
(ちなみに、左写真下はダン・エイクロイドを囲むディーボ3人)。
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