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ミスター・ブー
THE PRIVATE EYES

香港 1976年 100分
製作 レイモンド・チョウ
監督 マイケル・ホイ
出演 マイケル・ホイ
   サミュエル・ホイ
   リッキー・ホイ


『ミスター・ブー』自体はそれほど優れたコメディではない。最低とまではいわないが「まあ、こんなもんだろう」ってな作品である。しかし、フジテレビ系で放映された際に、広川太一郎による吹き替えで大化けした。大傑作コメディに変貌したのである。
 第1作『ミスター・ブー』は、共演がツービートってことでポイントが高いのであるが、まだそれほどハメをはずしていない。タガがはじけたのは第2作『インベーダー作戦』からである。広川のアドリブが炸裂し、想像を絶するナンセンス・ムービーに仕上がっている。例えば、ミスター・ブーがビルから宙ぶらりんになるシーン。

「なんとかしてよ、神さま、仏さま、スーパーマン 、バットマン、正義の味方、お豆腐屋さん、焼き芋屋さん、ドラゴン、ジャイアント、007、ウルトラマン、おそっさまに太一郎」

 太一郎ですぜ、旦那。
 その後、第3作『ギャンブル大将』で円熟の域に達した広川ブーは、第4作『アヒルの警備保障』で頂点を極める。惚れ惚れするほどの名吹き替えなので、深夜にコッソリと放映された際は必ず録画するように。


 ところで、当の広川氏は当時のことをこのように述懐している。
「正直な話、『ミスター・ブー』ってギャグも古くて、セリフも面白くない。それで、TV局の担当の人が、このままやったんじゃイマイチだから面白くしてくれていいよ、ってなことを僕に言ってくれたわけ。じゃあ、僕なりのマイケル・ホイを作ろうってことで、あることないこと入れちゃったんだよね。台本は一応あったけど、それを元に内容をまったく変えちゃった部分もあるし、内容は変えずにダジャレを入れてセリフを変えちゃったこともある。面白くないものを面白くするっていう、非常に乱暴な決断なんだけど、そうしちゃったんだ。ま、他の喜劇物に関しては、あそこまでやらないけどね(笑)。あの場合はお許しが出たから」

 なお、映画自体はそれほど面白くないのに広川パワーで珠玉の傑作に仕上がった作品としては他に、メル・ブルックス監督『ヤング・フランケンシュタイン』、広川氏がダドリー・ムーアに扮した『ファール・プレイ』などがある。
 それから、いつもは羽佐間道夫=ディーン・マーチンと近石真介=ジェリー・ルイスが吹き替えている「底抜けシリーズ」を、広川氏と愛川欽也が吹き替えているのがあって(タイトルは失念)、これのラストが凄かった。
「底抜けシリーズは面白いねえ、キンキン」
「そうだねえ、太一郎」
 なんと、吹き替え担当者名が映画に登場してしまうのである。


 

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