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アンデスの聖餐
LA ODISEA DE LOS ANDES

ブラジル 1975年 99分
監督 アルバロ・J・コバセビッチ


 私が最も多感な思春期を過ごした70年代半ばは、まさにエログロ映画の叛乱期だった。「女囚もの」の大流行。毎月のように公開される「悪魔のなんたら」。少女はグリーンピースのゲロを吐き、白目を剥いて「オマンコ」と叫び、ライオンが人を喰い、主演女優が映画の中で殺された。こんな映画群に囲まれてマトモに育つ筈もなく、挙げ句は「最低映画館」館長に成り果てることとあいなるのであるが、そんなことはどうでもよろしい。
 本題は『アンデスの聖餐』である。

 1972年10月に起こったウルグアイの学生ラグビー・チームを乗せたチャーター機墜落事故のドキュメンタリーである本作は、云うまでもなく、カニバリズムが興味の対象の「見世物映画」である。
 少なくとも、配給会社はそのように売っていたし、観客もそのような興味本位で観に行った。『グレートハンティング』や『スナッフ』と同列の「ゲテモノ」だった。
 ところが、蓋を開けば極めて真面目な、すこぶる深刻な内容であった。全編に切なすぎる音楽が流れる中、淡々とした事故の再現と、遺族の事故現場への旅を交互に織り交ぜながら進行する。そして、最後に遺族が見たものは、この世の地獄であった。

「私は、生存者から真相を聞かされて、息子が二度目の死を宣告されたように感じました。それは一度目の死よりも残酷で、取り返しのつかないものとして私の胸に迫ったのです」

 グロ目的の興味本位で映画館に訪れた観客にとって、さぞかし辛い1時間40分であったことだろう.....。


 

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