処刑軍団ザップ 米 1970年 88分 |
日本公開当時(1978年)小学校高学年の私は、この映画の広告を激しい嫌悪感とともに見たことを記憶している。白痴な表情の女性が手に持つ切断された手首のグロテスクも然ることながら、ニュージャージー州で実際に起った虐殺事件を映画化した旨の見出しが躍り、さながらドキュメンタリーであるかのような凄惨さを漂わせていたのである。現実に観たのはそれから十数年後のことであるが、実際の事件を映画化したどころか、フィクションとしても程度の低い噴飯物の作品であった。 マンソン・ファミリーを連想させるヒッピーたち。田舎町の廃屋に住み着き、何やら怪し気な儀式をしている。彼らを追い出そうと、仕出し屋の少年がミートパイに狂犬病の犬の血液を混入。これを喰ったヒッピーたちが発狂して、共喰いを始める。やがて町はゾンビの如き感染者で溢れ、警官も病人たちをガンガン射殺する。狂犬病患者への配慮を欠くことこの上ない、狂気のバイオレント・ムービーである。 なお、切断された手首を持つ女=リン・ローリーは、本作の後にジョージ・A・ロメロの『ザ・クレイジーズ』、デヴィッド・クローネンバーグの『シーバース』に出演しているが、いずれの作品でも発狂している。 |
関連作品 |
ザ・クレイジーズ |