初見の当時は、その溢れんばかりの血のりの量に「おフランスのゴアは容赦ないざあます」と随分呆れたもんだが、久しぶりに再見してみて、本作は実はコメディであることを知る。
要するに、太古の邪悪な生命体が現代に蘇らんとして、人間の雌の子宮に入り込む物語。
こいつ、ちゃんとテレパシーでおはなしができて、
「おかあちゃん、血が欲しい。血が飲みたい」
とおねだりするもんだから、おかあちゃんはイヤイヤながらも人を襲って生き血をすする。
そのうちにだんだんおマセになってきて、
「おかあちゃん、あの男とヤリたいんか?」
などとおかあちゃんの性生活にも口を出し、おかあちゃんがフラれると、
「男ってそんなもんなんよ」
などと人生相談に乗ったりする。
最初は殺人に躊躇していたおかあちゃんも、臨月が近づくにつれて鬼畜となり、もはやハンニバルも逃げ出す食人鬼の大食漢。大きなお腹で男の首を蹴り飛ばすシーンは痛快ですらある。
母よ〜あなた〜は強かった〜♪
本作には「松坂季実子爆笑吹替版」が存在し、当時は「なんだかなあ」と思ったものだが、本作の実態を理解した今では、それは正しい解釈であったことを知る。
|