ホリデーロード4000キロ 米 1983年 98分 |
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上のフヌケた日本版チラシを見て、この映画を家族向けの満点パパだと思ってはいけない。実は圧倒的に悲惨なブラックコメディなのである。 チェビー・チェイスをパパとするグリズワルド一家は、夏休みを利用して、シカゴからワリー・ワールド(疑似ディズニー・ランド)のあるロスまで4000キロの大陸横断旅行を企画する。しかし、その旅は苦難を極める。パパの居眠り運転で死にそうになり、砂漠で事故って遭難する。キャッシュ・カードは盗まれ、小切手も切れないので銀行からキャッシュを強奪。途中で寄った親類からは臭い叔母を預けられ、しかも、その叔母が車中で死んでしまう。 本作は米のパロディ誌「ナショナル・ランプーン」に掲載された短編マンガを映画化したものだそうだが、その悲惨なエピソードの数々は都市伝説の古典的研究書『消えるヒッチハイカー』に載っているものばかり。「旅行にまつわる都市伝説ダイジェスト」のような作りになっている。そして、悲惨に次ぐ悲惨の累積の挙句に、主人公は発狂する。拳銃を手にしてワリー・ワールドを乗っ取り、「楽しみ」を満喫するグリズワルド一家の姿は、既にコメディの枠を越えている。 なお、本作はアメリカでは大ヒットし、3本の続編が製作されている。しかし、なんとか観られるのは、モンティ・パイソンのエリック・アイドルがグリズワルド一家に繰り返し痛めつけられる『ヨーロピアン・バケーション』まで。続く『クリスマス・バケーション』と『ベガス・バケーション』は普通のホーム・コメディに堕してしまっている。まあ、製作のジョン・ヒューズが『ホーム・アローン』を当てた後なので、仕方がないか。 |