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奇人たちの晩餐会
LE DINER DE CONS

仏 1998年 80分
監督 フランシス・ヴェベール
脚本 フランシス・ヴェベール
出演 ジャック・ヴィルレ
   ティエリー・レルミット
   フランシス・ユステール


 最近、本当に面白いコメディというのがあまりない。『ワンダとダイヤと優しい奴ら』の続編『危険な動物たち』も今一つだったし、映画版の『ビーン』もTV版には及ばなかった。そのローワン・アトキンソンとジョン・クリースが共演した『ラット・レース』も、元ネタの『おかしなおかしなおかしな世界』よりは面白かったが、期待外れの感は拭えない。
 そんな「コメディ欠乏症」の私を心の底から笑わせてくれたのが本作である。岡田斗司夫氏の「まったく期待せずに見たらこれが大当たり!」との評を信じて、騙されたと思って見てみたら、なるほどこれは大当たり。心の底から笑いたい方には絶対にお勧めの1本である。

 或る鼻持ちならない金持ちのグループ。こいつらは月に一度、それぞれが見つけてきたバカを招待する晩餐会を催し、どのバカが一番かを競い合っていた。主人公のピエールは「これこそバカ中のバカ」という物凄いバカを見つけ出す。「今月の優勝は俺に決まり!」と喜び勇んで晩餐会へ向かおうとすると、とんだハプニングでギックリ腰を患う。これでは思う存分にバカを笑うことができない。キャンセルしようと受話器に手をかけると、なんとッ、そのバカが彼の家にやってきてしまったのであった.....。
 その後の展開は諸君の予想通りである。このバカのために主人公はトンデモない目に遭うことになるのだ。
 濱田成夫氏の評が本作のすべてを的確に物語っている。
「この映画は一流のバカに二流の人間が反省させられる映画である。君はバカだが二流だと(笑)」
 私自身もバカを追いかけて取材して、それで手酷い目に遭って、だけど当のバカは顔色一つ変えずにケロリとしているなんてことを何度も経験している。そして、そのたびにこう思うのだ。「こいつとはレベルが違う」と。己れの二流ぶりを思い知るのである。
 そんな私だからこそ、本作が妙にツボにはまったのかも知れない。とにかく、日頃からバカを物笑いのタネにしている人は必見。本物のバカの凄さを思い知らされる。


 

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