いやはや、なんとも物凄い邦題であるが、この映画の売りはサム・ライミが出演していることぐらいしかないので仕方がないのだ。
デビュー作『死霊のはらわた』でいきなりブレイクし、『ダークマン』のヒットを受けてユニバーサルの重役に抜擢、今や『スパイダーマン』の大物監督に成り上がったサム・ライミはまだ45歳。『死霊のはらわた』を当てたのが24歳の時だから、あのスピルバーグよりも早熟である。
彼が自主製作映画会社「ルネサンス・ピクチャーズ」を設立したのが20歳の時で、その頃からブルース・キャンベルやコーエン兄弟、スコット・スピーゲルらとの親交が始まっていた。
で、こうした自主製作映画界では、互いに仲間の作品に助力をするのが常である。出たがりのライミは役者として出演した。スピーゲル(『死霊のはらわた』の脚本家)が製作した本作に彼が出演しているのは、そういうわけなのである。
(ちなみに、本作は『死霊のはらわた』の2年後の作品である)。
内容は「ランボー4人組、ヒッピーにお仕置き」の一言で片付いてしまう。
或る田舎町で、チャールズ・マンソン一派を連想させるヒッピー集団が非道の限りを尽くしていた。このマンソン役を演じるのがライミで(左写真)、はっきり云って演技過多。少々ヤリ過ぎである。
で、これにベトナム帰り4人組がお仕置きするのであるが、映画前半は彼らの戦場での敗北と挫折に割かれており、その鬱憤がヒッピーたちに向けられるという「敗者復活戦」の構造になっている。
テイストは『鮮血の美学』に近く、後味はあまりよろしくない。しかし、自主製作にしてはまずまずの出来と云えよう。
なお、本作の原案には『死霊のはらわた』の主演俳優、ブルース・キャンベルの名が列ねられている。要するに、悪友たちが酒でも飲みながら「サムにマンソンやらせよう」と盛り上がって作った映画なのだろう。
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