移転しました。https://www.madisons.jp/worst/action/sword.html

SFソードキル
SWORDKILL

米 1984年 86分
製作 アルバート・バンド
監督 J・ラリー・キャロル
出演 藤岡弘
   ジャネット・ジュリアン
   チャールズ・ランプキン
   ジョン・カルヴィン


 ちょっと前、《藤岡弘が「藤岡弘、」と10年以上前に改名していた》との芸能ニュースがネット上に流れた(サンケイスポーツ)。なんのこっちゃと記事を読んでみると、
《テレビの生番組に出演した藤岡弘は、10数年前に「藤岡弘、」と改名していたことを語った。名刺にも「藤岡弘、」と印刷している》
 とのこと。そうしたきっかけは『SFソードキル』に主演したことらしい。
 脚本をもらった藤岡はあまりにも陳腐なサムライ像に仰天し、通訳を通じて誤りを指摘、その熱い説得が実って脚本の書き直しが実現した経緯がある。こうした中で、藤岡に真の「サムライ・スピリット」が宿ったのだろう。
「昔の武将はいったん点を打って決意した。流されないで立ち止まって自分を見つめるという覚悟と、いまだ完成せずの意味も込めて」
 それで改名したというのだから、さすが藤岡弘。どんなことにでも一所懸命である。

 正直云って『SFソードキル』は、「そんなに一所懸命になることないのに.....」と思わせるほどにハチャメチャな物語である。
 400年前に氷漬けになった侍が現代のLAに蘇り、己れの浦島状態に困惑し、チンピラ相手に「仕置き」を繰り広げる.....という、どう転んでも「バカ映画」にしかならないような内容だ。
 ところがどっこい、驚くべきことに、本作は「バカ映画」になっていないのである。設定自体は限りなく陳腐、ツッコミどころ満載であるにも拘わらず、ちゃんと感動できる作品に仕上がっているのだ。
 これはひとえに、藤岡弘の熱意の賜物だろう。
 彼の姿勢から滲み出る「ピンッ」と張りつめた気が、本作を極上の娯楽作品に仕上げている。主演俳優が作品の質を格段に向上させた稀有な例として、本作はもっと注目されて然るべきだ。


 

BACK