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シベリア超特急3
SIBERIAN EXPRESS 3

日本 2002年 114分
監督 水野晴郎
出演 水野晴郎
   三田佳子
   宇津井健
   内藤武敏
   西田和晃
   大浦みずき
   アガタ・モレシャン


「ごきげんいかがですか?。水野晴郎です。
 さあ、今日は特別企画で、素晴らしい映画をたっぷりと楽しんで頂こうと思います。皆さんお待ちかねの『シベリア超特急3』です。この作品は私が製作、原作、脚本、監督、そして出演もした作品なんですねえ。(中略)鏡を使ったりですね、ハイテンポのパンフォーカスを使ったりですね、このあたりの映像のテクニック、たっぷりとお楽しみ下さい。ごゆっくりとどうぞ」

 以上は今年の2月にNTV系深夜に放映された『シベリア超特急3』での監督自らの解説である。よくもまあ自作を臆面もなく「素晴らしい映画」とか「皆さんお待ちかねの」とか云えるもんだと呆れてしまって、ついつい見そびれてしまっていたが、ようやく昨日鑑賞が実現した。(レコーダーのハードディスクがいっぱいになってしまったので、消さなければならなかったのだ)。いやあ、想像通りにツッコミどころが満載ですこと。三田・宇津井・内藤の三重鎮が健闘すれども監督自らの棒読みがすべてを帳消しにしてしまっている。水野晴郎という人はかなりの威力の爆弾であることを再認識した。


 1作目と同様、様々な映画へのオマージュで溢れているが、まず眼を引くのがオーソン・ウェルズが『黒い罠』で挑戦した長回しの移動撮影だ。近年ではスコセッシとデパルマが移動距離を競い合っているが、それにどうして水野晴郎如きが参戦する?。三田佳子がフェリーをぐるりと一周し、パーティー会場で宇津井健が罵倒されるまでの、実に7分30秒にも及ぶノーカット撮影は、監督的には「どうだ。まいったか」ってな偉業なのだろう。しかし、途中で三田に絡んでくるのがドクター中松とかの棒読み軍団なので、見ているこちらとしてはハラハラする。長回しの間、誰かがトチるのではないかとハラハラのしっぱなしなのだ。
 あのねえ、監督。観客にハラハラさせたら、演出としては失敗なのだよ。
 そして、最後の最後で宇津井に毒づく女のセリフ、
「ころしてやりたい(思いっきり棒読み)」
 これ、何よ?。NGだろ、普通。でも、監督的にはOKなんだよ。
 監督が水野晴郎でなかったらあり得ない映画、それが『シベリア超特急』である、ということを痛感した瞬間であった。


備考

 謎解きと「ラスト二つのドンデン返し」はたわいもないので、ここでは触れない。私には双方とも読めてしまった。(というか、「これで推理か?」というレベルの謎解きである)。


 

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