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レッド・サン
SOLEIL ROUGE

仏=伊=スペイン 1971年 115分
監督 テレンス・ヤング
出演 アラン・ドロン
   チャールズ・ブロンソン
   三船敏郎
   ウルスラ・アンドレス
   キャプシーヌ



 米仏日3大スター夢の競演!。しかし、フランス映画なので、西部劇なのにフランス語をしゃべる。ブロンソンが、三船が、メキシコ人が、そしてコマンチ族までもがフランス語をしゃべる。なよなよとしたフランス語をしゃべるまったく男らしくない西部劇なのである。

 監督は007シリーズのテレンス・ヤングなので、それなりに楽しめる作品には仕上がっているが、如何せん、考証がデタラメだ。
 三船敏郎御一行は「ミカド」の命を受け、伝家の宝刀を大統領に献上しに来た親善大使なのだが、いくらサムライだとはいえ、刀を差したまま入国させてはくれないだろう。
 それに、当時の日本の政治を司っていたのは「ショーグン」であり「ミカド」ではない(註1)。

 舞台は1870年代のアメリカ西部。三船敏郎御一行の乗る列車がドロン率いる強盗団に襲われて、献上品を奪われてしまう。サムライの名誉にかけても奪い返すことを心に誓った三船は、ドロンに裏切られて死にかけたブロンソンを脅迫して、荒野に旅立つのであった。
 脚本家はことさらに「サムライ精神の尊さ」を強調するが、三船はまるでサムライらしくない。ブロンソンを脅迫し、ドロンの女を人質に取ったりと、やってることは卑怯そのもの。売春宿ではメキシコ女としっぽり濡れて、終いにゃドロンを後ろから斬ろうとする。「サムライは使命のためには命を賭ける」のかも知れないが、決して「手段は選ばない」わけではないのだよ。サムライにもルールってえもんがあり、それを命をかけて守ることがサムライ精神の本質なのだ。そんなことも判らぬ映画に出演するなよ、世界のミフネ。

註1 よく考えたら明治維新後の話なので「ミカド」でいいのだが、それなら尚のこと、刀は差していないと思う。


 

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