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エクスタミネーター
THE EXTERMINATOR

米 1980年 101分
監督 ジェームズ・グリッケンハウス
脚本 ジェームズ・グリッケンハウス
出演 ロバート・ギンティ
   クリストファー・ジョージ
   サマンサ・エッガー


 ニューヨークを拠点にした映画作家は、例えば、アンディ・ウォーホール一派やジョン・カサベテス、デビッド・バーンのようなアート系が多い。しかし、ラリー・コーエンやウィリアム・ラスティグ、フランク・ヘネンロッターのようなゲテモノ系も存在していて、その一派を束べているのがジェームズ・グリッケンハウスなのである(彼は上記3監督のプロデューサーなのだ)。いわば「NY鬼畜映画の首領」である。
 そんな彼の出世作が本作である。

 物語は明らかにブロンソン主演『狼よさらば』のエピゴーネンで、オリジナリティのかけらもないが、残酷な処刑シーンが大いに話題となり、世界中で大ヒットした。
 まず、冒頭の「首斬り処刑シーン」。ベトコンがナタで米兵の首をスッパリ斬ると、ウワッと口を広げて、ゴロンと頭が倒れる(写真上)。『独占女の60分』でこの映像を見た時はビックリしましたよ、あたしゃ(註1)。
 それから「人間ミンチ」もスゴイよなあ。食肉会社の社長さんが値下げをしないってだけで処刑されるのもスゴイけど、生きたままミンチにするって発想には開いた口が塞がらなかった(写真中)。
 しかしねえ、それだけなんだよなあ、見どころは。
 たしかにテンポはいいけど、『狼よさらば』にあったような「主人公の切なさ」いうんですか、そういうものが描かれていないんで、ベトナム帰りのキチガイ大暴れという印象しか受けないんだよ。
 要するに、主人公に感情移入できないのだ。

 ベトナムから帰還した主人公は、戦友がチンピラに半殺しにされたことに憤り、世直しをモットーにする「エクスタミネーター=処刑人」になることを決意。そのチンピラどもを始めとして、次々と「社会のダニ」を抹殺していく。

 この主人公を演じるのがロバート・ギンティ(写真下)。タレ眼で下ぶくれのその顔はポール・マッカートニー+宍戸錠という、極めて日本人に馴染みの深いものである。渋谷陽一にも似ていると噂される彼の声の吹き替えは、なんとあの「ベンチがアホやから」発言で追放されたばかりの江本孟紀であった。
 で、彼を追う刑事にクリストファー・ジョージ。彼もまたベトナムからの生還者で、処刑人=ギンティに同情しつつも、CIAの陰謀で殺されてしまう。
 その恋人役にサマンサ・エッガー。クローネンバーグ監督の『ザ・ブルード』で畸形児をゴロゴロと産み落とし、ヘソの緒を歯で喰いちぎっていた人である。

註1 最低映画館に頻繁に登場する『独占女の60分』は、かなりの長尺で新作映画(ゲテモノが多い)を紹介するので、我々の間では要チェックの番組だった。『デアボリカ』も『サスペリア』も、みんなここで初めて観て驚いた。


 

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