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キラー・エリート
THE KILLER ELITE

米 1975年 116分
監督 サム・ペキンパー
脚本 マーク・ノーマン
   スターリング・シリファント
出演 ジェームズ・カーン
   ロバート・デュヴァル
   ギグ・ヤング
   バート・ヤング
   ボー・ホプキンス
   マコ岩松


 テレビでいきなり「へっぽこ忍者」のシーンから見てしまったために、これまで改めて観ることのなかったこの映画、ビデオ屋でなんときなしに眼に止まってしまい、自虐的な気分で借りてみた。サム・ペキンパーの信者からも「ペキンパー唯一の駄作」と忌み嫌われているだけあってシドイ、シドイ。正真正銘の最低映画である。

 ジェームズ・カーンとロバート・デュヴァルの「ゴッドファーザー義兄弟コンビ」は、この映画でもコンビを組んでCIAの下請けの殺し屋家業を勤しんでいる。ところが、ロクに活躍もしないうちにカーンはデュヴァルに裏切られ、利き腕片足をオシャカにされちまう。
 このあたりまではペキンパーっぽいんだよ。で、復讐に燃えた男一匹が、己れの死に場所を探す旅に出る.....という展開になるかと思いきや、これがまったく違うんだなあ。
 なんか、いきなりカンフー習っちゃうの、中国人のジイさまに。しかも、看護婦さんとしっぽり濡れて、なんだかしあわせそうじゃねえか。そうこうしているうちに仕事の依頼。「忍者軍団に命を狙われている中国人の要人警護」というワケの判らぬ内容で、この忍者軍団に仇のデュヴァルが仲間入りしているという強引さ。

 カーンは早速、仲間を呼び寄せるが、これがガン・マニアのボー・ホプキンスとタクシー運ちゃんのバート・ヤング。片輪にキチガイにデブったおっさんトリオのどこが「キラー・エリート」かと小一時間問いつめたい。
 要人のマコ岩松とその娘もバカ丸出しで、命を狙われているというのに「夜のお散歩」に出かける娘。引き止めると「娘は闇を使えるんだ。心配ない」などとワケの判らぬことをのたまうマコ親父。挙げ句の果てに、娘はあっさりとデュヴァルに捕まって、さあ、ここでカーンとデュヴァルの一騎討ち.....かと思いきや、デュヴァルはあっさりとホプキンスに射殺されて、なんじゃこりゃあ?、とブラウン管の前で呆れる私。

 で、ようやく例の「へっぽこ忍者」のシーンである。ペキンパーお得意のスローモーション撮影が駆使されておるが、短刀で襲い掛かる忍者軍団をウージーでバババババンと皆殺しする様にはカタルシスのかけらもない。「大人気ない」が最も適切な修辞である。
 最後に忍者軍団の頭目登場。ヤングはカーンに「撃っちゃえ、撃っちゃえ」と唆すが、マコは「私が決着をつけます」とサシのチャンバラを申し出る。で、その模様を冷ややかに見つめるカーンたち。
「変な服だな」
「俺はチビの方に賭ける」
 こいつら、完全に主役を降りております。

「ひでえ脚本だなあ。誰が書いたん、こんなの」と調べてみると、なんとブルース・リーの弟子にしてマブダチのスターリング・シリファント!。こいつ、師匠の教えがまるで判っていなかったのだ(笑)。

 で、この映画の中で一番カッコいいのは、実は、一番冴えない風貌なのにソツなく仕事をこなすバート・ヤングだったりする。


 

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