1999年4月28日、アルバータ州テイバーでの出来事である。W・R・マイヤーズ高校にライフルを携帯した若者が侵入し、カフェテリア脇の廊下で談笑する3人の生徒を銃撃した。これによりジェイソン・ラング(17)が死亡し、もう一人が重傷を負った。
間もなく体育のコーチに取り押さえられた犯人は、この高校のかつての生徒だった。トッド・スミス(14)。目立たない生徒で、イジメが余りに酷いので(例えば、ライターのオイルを掛けられて、火をつけるぞと脅されたりだとか)、数ケ月前に退学していたのだ。
そんな彼がどうして学校襲撃を企てたのか? 切っ掛けは8日前に起こったコロンバイン高校銃乱射事件だった。あの事件をニュースで見た彼は、犯行を思い立ったのだ。
この手の犯罪は感染する。模倣犯が必ず現われる。その第1号がトッド・スミスだったのだ。
裁判を待つまでの間、スミスには重大な心臓疾患があることが判明し、外科手術を受けた。その際に昏睡状態に陥り、後遺症として言語に障害が生じた。そのためもあって、彼は成人として裁かれることなく、僅か3年の刑を云い渡された。
2005年3月、刑務所から釈放されたスミスは社会復帰訓練所に収容された。5ケ月後に「もうカゴの中はこりごりだ」との手記を残して脱走したが、翌日には警察に出頭した。彼を診断した精神科医曰く、
「彼は全く反省していません」
(2013年1月8日/岸田裁月) |