マティアス・フリンク
スウェーデン中部の街、ファールン在住の陸軍少尉、マティアス・フリンク（２４）は１９９４年の春頃から睡眠障害に悩まされていて、そのために精神状態が不安定になっていた。怒りっぽくなっていたのである。
事件前日の晩にもバーで恋人と激しく口論している。彼女から別れ話を持ち出されたようだ。そして、彼女が店から去った後も酒を浴びるように飲み続けた。明らかに自棄になっていた。帰宅した彼は軍服に着替え、アサルトライフルを肩から下げると、白夜の街に繰り出した。１９９４年６月１１日午前２時頃のことである。
フリンクが向かったのは基地付近の公園だった。そこでは女性の補助部隊がパーティーを開いていた。フリンクは彼女たちに銃口を向けて、無差別に乱射し始めた。これにより６人が被弾し、うちの５人が死亡した。
カリン・アルクストール（２２）
テレーズ・ダニエルソン（２０）
エレ・ユルゲンセン（２１）
レナ・モードナー＝ニルソン（２９）
ジェニー・オスターマン（２２）
その後、フリンクは警備員のマス・ブラグステッド（３５）と、サイクリングをしていたヨハン・トルステン（２６）にも銃撃し、死に至らしめている。そして、通報を受けて駆けつけた２人の警官にも銃撃したが、逆にフリンクが腿を撃たれて捕縛された。
かくして、マティアス・フリンクは７件の殺人容疑で有罪となり、終身刑を宣告されたが、２０１０年に３０年の刑に減刑された。故に２０年間服役した２０１４年夏以降は仮釈放の申請が認められることになる。
（２０１３年１月１９日／岸田裁月）