2002年3月27日、パリ近郊の街、ナンテールでの出来事である。午前1時15分頃、市議会の閉会直後に傍聴席にいた男が拳銃を乱射し、8人の議員が死亡、19人が重傷を負った。
ルイーザ・ベナクリ(40)
クリスチャン・ブーティエ(46)
ジャコット・デュプレン(48)
モニーク・リロイ=ソテー(43)
オリヴィエ・マゾッティ(38)
ヴァレリー・メオト(40)
ミシェル・ラウール(58)
パスカル・スタンバーグ(30)
間もなく取り押さえられた犯人はリシャール・デュルヌ(33)という無職の男だった。警察に引き渡される際、「殺してくれ!」と叫んでいたという。そして、翌日、取り調べ中に4階の窓から飛び降りて自殺した。
犯行の動機は不明だが、彼が犯行の直前に友人に宛てた手紙の中に、その答えらしきものが残されていた。
「嫌で堪らないこの街のシンボルであるエリートたちを殺すことで、この人生を終えたいと思う」
「出来るだけ多くの人を殺したい。何故なら、一人では死にたくないからだ。そして、不愉快な人生を送って来た私は、せめて一度だけでも力強く、自由でありたいのだ」
我が儘な男である。
(2013年1月19日/岸田裁月) |