ユニークな事件である。参考文献の記述が少ないので、詳しいことが判らないのは残念だ。
1990年9月9日、ウィーン在住のフェリックス・ゼヘットナー(21)は20人ほどの友人と共にバーベキューを楽しんでいた。ところが、彼は些か楽しみ過ぎてしまった。どう「楽しみ過ぎた」のかは詳らかではないが、どうせ酒を浴びるほど飲んで暴れたのだろう。主催者の逆鱗を買い、会場から追い出されたのである。
普通ならば家に帰って、ひっくり返って寝ちまうところだが、彼はそうしなかった。あろうことか枕の下のスミス&ウェッソンを取り出すと、両親に向けて発砲したのである。
なんで?
なんで? なんで?
今となっては当人が死んでしまっているので動機は皆目判らない。しかし、追い出されたことに怒り狂っていたことは間違いない。おそらく、そのとばっちりで両親は撃たれたのだ。母親は一命だけは取り留めたが、父親は助からなかった。
その足でバーベキュー会場に向かったフェリックスは、主催者を含む4人を射殺、16人を負傷させた。間もなく現場に駆けつけた2人の警官も負傷させた後、自らの頭も撃ち抜いて自殺した…。
やれやれ。楽しいレジャーが台無しだ。
(2009年3月25日/岸田裁月) |